2015年12月18日金曜日

第1254話 奇妙な白子に会いました (その1)

当ブログで過去に何度か紹介している、
JR御徒町駅前の「吉池」はサカナのデパート。
建て替え前の売り場は今より広く、
サカナの種類もずっと多かった。
現在はスペースの半分をユニクロに賃貸してしまい、
鮮魚や魚介加工品を求める買い物客の不興を買っている。

かく言うJ.C.の訪問回数もずいぶん減った。
むしろ同駅ガード下にある、
「吉池」直営の居酒屋「味の笛」に
立ち寄ることのほうがはるかに多い。

ここの生ビールは工場直送だからバツのグンである。
小ジョッキサイズのプラスチック・コップで250円也。
ビール好きにはとてもありがたい。
立て続けに軽く2~3杯飲んじゃうからネ。
もっともそれは今の時期のハナシで
夏場なんざ4~5杯やっつけちゃうもんなァ。

今は昔、ニューヨーク滞在時。
和食店ではビールの小瓶を2本ほど飲んだら
すみやかに日本酒へ移行していた。
イタリア料理店となると、モレッティやペローニなど、
イタリアビールの小瓶1本を相方と分け合うのが関の山、
実量はグラス1杯に等しいくらい。
そうしておいて即、ピエモンテの赤ワインに直行の巻だった。

今でも旧交を温めている当時の仲間と食事をするたびに
昔は呑まなかったビールをガブガブやるので
びっくりされているくらいなのだ。

さて、今話の主役は居酒屋「味の笛」ではなく、
鮮魚売り場のほうである。
というのも先日、珍品に遭遇したからだ。
いつものように店内をざっと流していると、
見慣れぬ白子(しらこ)に目がとまった。

元来、サカナの真子・白子には目がない。
大好物と断言してはばからない。
したがって、とても看過できるものではなかった。
唯一、あまり好まないのは鮭の白子である。
あればっかりはかなり大味でいかんともしがたいのだ。

実は目にとめたその白子、鮭のソレによく似ていた。
ただし少々濁った色合いの鮭よりも
白みが勝って別物であることだけは判った。

そこで売り場のオジさんに訊ねる。
「この白子、シャケじゃないんでしょ?」
「ああ、これはボラなんッスよ」
答えを聞いてぶったまげやした。

=つづく=