2016年3月21日月曜日

第1320話 花嫁は二児の母 (その3)

結婚式の披露宴においては
立食パーティー形式でもない限り、
なかなか新郎新婦と語らう機会に恵まれないもの。
にもかかわらず、幸運なことに新婦と会話を持てたし、
初対面の新郎、フロム・グレート・ブリテンとも言葉を交わせた。
僥倖と言わねばならない。

金屏風の前で送賓を受けた際には
両家の御両親に挨拶することもできた。
心晴々として暮れなずむ芝公園を歩む。
真っ直ぐ帰宅してもよかったが
ふと思いついて東プリ本館に足を向けてみる。
青春の思い出が詰まったホテルのバーで
余韻にひたろうという腹積もりであった。

何度か訪れたことのあるフランス料理店、
「クレッセント」を右に見ながら増上寺の門前を横切る。
この光景をたびたび目にしたのは1970年代だった。
懐かしいなァ、懐かしいねェ。

あれはやはり’70年代の後半だったろうか、
現在、「クレッセント」の並びにあるメルパルク東京が
郵便貯金会館だった頃、
エルヴィス・プレスリーの主演映画を朝から晩まで
何と5本立てで観尽くしたのは!

それはそれとして東京プリンスの敷地内に足を踏み入れた。
以前、「プリンス・ビラ」だった別館レストランは
まったく別経営のドイツ系ベーカリーに変身していた。
何となく最近のシャープや東芝に通ずる悲哀がつきまとう。

もっと驚いたのはベーカリーの横に設置されていた案内板だ。
東京プリンスはこの3月末日をもって丸1年、休館するという。
大幅なリノベーションを敢行するとのことだった。
ついては顧客への感謝をこめて
名物料理の復刻版を1ヶ月間、ブッフェで提供する由。
ことここに及ばれてJ.C.は心に決めた。
これは何としても行かねばならぬ、
行かねばならんのだ!

 止めて下さるな、妙心殿、
 落ちぶれ果てても平手は武士じゃ
 男の散りぎわだけは知って居り申す、
 行かねばならぬ、
 そこをどいて下され、
 行かねばならんのだ

 ♪  瞼 瞼濡らして 大利根の
  水に流した 夢いくつ
  息をころして 地獄まいりの
  冷や酒飲めば
  鐘が 鐘が鳴る鳴る 妙円寺  ♪

         (作詞:猪俣良)

1957年、三波春夫の「大利根無情」は
フランク永井の「有楽町で逢いましょう」と
同年のリリースでありました。

=つづく=