2016年3月29日火曜日

第1326話 綾瀬はるかと二人飲み (その3)

「串のこたに」は綾瀬きっての繁盛店。
その秘密を探ってみようと思っていた。
カウンターに座った途端、
「お飲み物は?」―オネエちゃんに訊かれて
メニューをろくすっぽ吟味しないままに
チラリ目についたホイス・ハイを反射的にオーダー。
めったに頼まぬホイスを使用したハイボールである。

ホイスというのは半世紀以上前に
港区・白金の後藤商店が発売を始めたハイボールの素。
ホイスと焼酎を合わせたところに炭酸を注ぐと、
ちょいとしたウイスキー・ハイボールを味わえるというワケ。
これが280円とずいぶん安い。
取りあえず安価なリカー類が繁盛の一因であることは判った。

おっと、店内に響き渡るBGMは
TUBEの「さよならイエスタデイ」じゃないか。

 ♪    別れ間際には 無傷じゃいられない
    やるせないお互いに 涙の初恋
    もうすぐ私も 普通に嫁いでゆくわ
    今となりゃ懐かしい 目眩のくちづけ
   
    あなたの胸の中で少女を
    脱いで女になったあの夏
    火傷しそうなほどに燃えて 
    消えたロマンス

    憎んでも恨んでも いいから忘れないで
    本気だった愛してた さよならイエスタデイ ♪

              (作詞:前田亘輝)
    
ラテン調のこの曲は1991年のリリース。
初めて耳にしたのはその年の秋口のことで
京都駅から四条河原町に向かうタクシーの中だった。

それはそれとしてホイス・ハイで一息つく。
周りを見渡すとドデカいピッチャーを目の前に据えて飲む客がいる。
これがグループではなく独り飲みなのだ。
カウンターにはこの手の客が3人も―。
いったい彼らは何を飲んでいるんだ?
まっ、それもおいおい判明してくるだろう。

突き出しの枝豆をつまみつつ、品書きに目を通す。
「串のこたに」を名乗るくらいだから名物は串のハズ。
客の注文状況に耳をすませていると
串揚げが圧倒的で串焼きは皆無だった。
確かに焼き鳥はどこでも食べられるけど、
しかし、こうまで片寄るかねェ。

=つづく=