2017年5月9日火曜日

第1618話 上野広小路の夜は更けて (その3)

上野広小路の「すしざんまい」。
おろし生姜を頂いたかつおは悪くなかった。
皮目をあぶったタタキ風である。
ニンニクがほしいところながら当店はニンニクを扱わない。

まぐろ赤身は良質だった。
きめこまやかなテクスチャーに
本まぐろ特有の酸味が立っている。
色合いも紅ばらのごとく鮮やかだ。

  ♪   I love you, yes I do
     愛しているよと 君に云いたくて
     そのくせ 怖いのさ
     君に今度 逢うまでに
     みつけておこうね その勇気を
     I love you, yes I do
     夜空に歌えば 僕の心に
     愛の炎(ひ)は 燃える 

     僕と今度 逢う時は
     黙ってお受けよ この愛を
     I love you, yes I do
     恋とは男の 胸に息づく
     紅いバラの 花       ♪   

        (作詞:弾厚作)

加山雄三の「恋は紅いバラ」は1965年初夏のリリース。
彼にとって3枚目のシングルが初めてのヒットで
実質的にはデビュー曲に近い。
そしてこの半年後に「君といつまでも」が世に出るのだ。

何もまぐろの赤身で
「恋は赤いバラ」を引っ張り出すこともないやネ。
まっ、当時中学二年生だったJ.C.にとって
思い出深いナンバーにつき、お許しを。
それにしても、あのときのマイ・ローズは
今頃どこでどんな暮らしを送っているのだろうか―。

ヨタはいいかげんにして、にぎりの続き。
酢で〆た光りものはほかに鯖だけだというので
それと穴子を。
う~ん、鯖は当たり外れが激しいからネ。
煮モノの穴子は意想外に良質だった。

小肌のアンコールと締めの煮はまぐりで計8カン。
緑茶ももらわずのお勘定は三千円弱。
まあ、こんなものでしょう。
そう、そう、書き忘れたが漬け生姜はなかなかだった。

夜更けの広小路にはまだ人がいっぱい。
これからどこへ行こうかの?
ここは帰宅の一手、ほかに指す手が思いつかない、
上野午前0時半でありました。

=おしまい=

「すしざんまい 上野店」
 東京都台東区上野2-7-12
 03-5807-6543