2017年5月22日月曜日

第1627話 ラーメンと焼きそば (その1)

ときどき読者の方から訊かれることに
「ラーメンがちっとも出てきませんが
 おキラいなんですか?」―というのがある。
いや、キラいどころか
どちらかと言えば好きなほうだ。

同様のお訊ねにカレーや焼肉がある。
カレーについては子どもの頃より、
大人になってから好むようになった。
インドやタイなど本格的なカレーの普及も一因だろう。

焼肉はその逆。
若い時分にはずいぶん食べたが
40歳を過ぎてからトンと魅力を感じなくなった。
むしろ避けるくらいなのだ。
しばしばビールの友としたキムチやナムルにもご無沙汰。
チゲ鍋、テグタンの類いも敬遠気味である。
まっ、人の嗜好は歳とともに移ろうからネ。 

今話は冒頭に登場したラーメンを語ってみましょうか。
一口にラーメンと言っても
そのスタイルたるやまことに多種多彩。
これほどご当地色が
前面に押し出される食べものはほかに類を見ない。

試しに日本列島を北から南下してみる。
旭川・札幌・函館・米沢・喜多方・佐野・富山・
和歌山・尾道・徳島・長浜・熊本、
ザッとこんなところだろう。

ほかにいくつか見落としがあると思われるし、
加えて東京風だの横浜系だの、
京都流なんてのもあるから
とても一括りには出来やしない。

J.C.の好みは東京風の醤油ラーメン。
ラーメンというより中華そば、
中華そばというより支那そばがよい。
よって東京のそれに近しい旭川や米沢が好き。
あとに続くのは函館の塩ラーメンになろうか。
要するにアッサリ系が嗜好に合うのだ。

コッテリとした札幌の味噌、
あるいは長浜や熊本のとんこつもキラいではない。
当地に赴けば必ずいただく。
札幌はボリュームがあってちょいと厄介だが
長浜なんかは替え玉さえしなけりゃ、
胃もたれもないし、スッと胃袋に収まってくれる。

ただ一つの苦手は横浜の、殊に”家系”というヤツ。
数あるこの系統の中には豚ゲンコツの臭みが
店内に満ち満ちているところがあったりして
そんなときにはスタコラさっさ、
尻尾を巻いて逃げるほかに手立てがないのだ。

=つづく=