2017年5月10日水曜日

第1619話 街に花咲く すずらん通り (その1)

   ♪   触れあう頬  夜の二人
     甘い香り 熱い二人
     みゆき通り すずらん通り
     何もいわず ときめく胸の
     二人の銀座        ♪
         (訳詞:永六輔)
     
和泉雅子と山内賢のデュオによる「二人の銀座」は
1966年9月のリリース。
ビートルズ来日から3ヶ月あとのことだ。
紹介したのはその2番。
作詞・作曲は日本で息の長い人気を誇るザ・ベンチャーズの面々。
英語原題の「Ginza Lights」を永六輔サンが訳した。

当初は越路吹雪に提供された楽曲だったが
自分より和泉雅子と男性歌手のデュエットが
ピッタリじゃないかしらと
越路から和泉に譲渡されたというエピソードが残っている。

それはそれとして
東京にはすずらん通りが20箇所もあるそうだ。
そのほとんどが商店街で
中でも銀座、神田、経堂、荻窪、立川の5つは
東京すずらん通り連合会を組織している。

デュエットソングのおかげだろうか、
すずらん通りと聞けば、第一感は銀座。
そして神田となる。
神田といってもJRの駅からはずいぶん離れ、
通りがあるのは神保町。
古書店が立ち並ぶ靖国通りの裏手を並行して走っている。

毎週のようにTVで紹介される谷根千の名所、夕焼けだんだん。
石段から続く商店街が谷中銀座で
Tの字で突き当たるとよみせ通り。
通りを北に向かって100mほど進み、
左に折れたらすずらん通りである。
100mに満たない小路は突き抜ければ不忍通りにぶつかる。

千駄木すずらん通りに季節の板前料理を謳う、
「囲味屋」を発見したのはちょうど一年前のこと。
数日後に入店し、カウンターに独り着くと
ビールとともに突き出しが置かれた。
鶏の挽き肉を使った松風である。
和食における八寸の一翼を担ったりする小品だ。

目の前のガラスケースに
カサゴらしきサカナのカブトとアラを見つけ、煮付けてもらう。
訊けばアヤメカサゴだという。
白身魚のアラは大好物。
殊に目玉の周りとホッペタに目がなく、美味しくいただいた。
合わせたのは芋焼酎・赤霧島のロック2杯。
短い時間ながら、まずまずの初訪問だった。

=つづく=