2017年5月15日月曜日

第1622話 真子と白子の強力コンビ (その2)

白金は四の橋商店街のスーパーで真鯛のアラを買った。
カブトに加え、真子ばかりか白子までも付いている。
白いレジ袋を手に魚籃坂を上り、伊皿子坂を下った。
S寺に立ち寄り、西国の義士たちの墓前で手を合わせる。
門前にメトロの駅があるが、もうちょっと歩きたい気分。
第一京浜国道を北上していった。

15分ほどでJR田町駅に到着。
国道の反対側はメトロの三田駅だ。
JRの階段を上ろうとしたとき、右手に立ち飲み酒場を発見。
以前、見たことがあるような、ないような・・・
いずれにしろ入店していないことだけは確かだ。

入口に積まれたビールのラックが気になったが
帰り掛けの駄賃とばかりに敷居をまたいだ。
店名は「立呑処 やまとや」。
けっこうな混みようで
近隣のサラリーマンやOLがよく利用する人気店らしい。

以前は和菓子の老舗だったのが
酒場に転じて十数年になるという。
立ち飲み処としての居心地は悪くない。
ただし、下町の酒場が持つノスタルジックな雰囲気はない。
まっ、高望みしても始まるまい。

キリン一番搾りの中ジョッキと店の名物らしき馬刺しを注文。
ずっと歩いて来たからノドの渇きはかなりのもの。
ジョッキはまたたくまにスッカラカン。
即刻お替わりして馬肉に箸をのばした。

馬刺しはつまみの中でやや高めの600円。
霜降りの上物ではないものの、
価格に見合った質はキープしている。
弾力に富んだ赤身はおそらくハラミだろう。

1本100円の焼きとんを追加した。
シロとレバをタレで1本づつ。
下町の佳店には及ばなくともアベレージは超えている。
すぐ近くの芝浦市場から直接引いているとのことだが
それならもっと上を目指してほしい。

生ビールから冷たい清酒に移行した。
信州の千曲錦は純米寒仕込み。
焼きとんに合わせるには少々上品に過ぎるかもしれない。
皿に2切れほど残った馬肉との相性のほうがいい。
焼きとんにはホッピーや酎ハイが似合うのだ。

小一時間過ごして帰宅する。
かったるかったが鯛アラの調理にかかった。
まずはヤカンで湯を沸かす。
臭みを消すため、ヤカンの中に生姜を皮付きのまま、
数片投ずることを忘れない。

そうしておいてザルにあけたアラに熱湯を注ぎかけた。
このとき真子と白子だけは外しておく。
二つの”子”に生臭さなどないからだ。

=つづく=

「ホームマート四の橋」
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「立呑処 やまとや」
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