2021年10月13日水曜日

第2762話 極上の生姜焼き

かつては城北の三業地として

池袋をしのぐ繁栄を誇った大塚にやって来た。

都内随一の酒亭「江戸一」の営業再開を確かめ、

さて、これから昼めしである。

 

訪れたのは「洋食 GOTOO」、2010年の夏以来だ。

曜日替わり(900円)のお楽しみランチは

とろとろオムライスにつき、看過。

とんかつやらハンバーグやらミックスフライが並ぶなか、

豚生姜焼き(950円)に白羽の矢を立てる。

 

ずいぶん立派な一皿が整った。

特徴的なのは中央やや向こう側に

こんもりと盛られた繊細な繊切りキャベツ。

他店の倍以上はあるな。

 

ドレッシングが少々かかり、

脇にマカロニサラダが添えられている。

居酒屋のお通しで出る、

愚にもつかない出来合いではなく自家製だ。

 

わかめの味噌汁は煮干し出汁。

洋食店で煮干しとは首をひねりたくなるが

まっ、旨けりゃいいんだよネ。

卓上の鉢には葉唐辛子&きゅうりの醤油漬け。

 

肝心かなめの生姜焼きはとてつもない優れモノ。

脂身の少ない肩ロースが6枚。

肉質よく味付けよく二重丸を進呈したい。

 

生姜焼きといえば、ひと月前。

神田駿河台はニコライ堂の下、

「すずのおむすび」にて

庄内豚ぶーみんをいただいたが

この逸品と甲乙つけがたし、いや、実に―。

 

何事にも隙(すき)を見せない「GOTOO」だが

唯一、指摘を免れないのはライス。

質・量ともに標準的で

もうちょいビシッと炊き上げてほしい。

とはいえ、欠点というほどではない。

 

13時になるのに客足が絶えない。

近隣の会社によるテイクウトもひんぱんだ。

それもけっこうまとまった数が―。

見たところ、注文の7割はとろとろオムライス。

 

隣りのOLサンを盗み見ると、

薄焼き玉子で包むのではなく、

ケチャップライスにふわっとかけるタイプ。

寝入ってしまったわが子に

ママがブランケットを優しく掛けるように―。

 

秋の深まりとともにカキフライが始まる予定。

次回はそれをつまみにビールを飲んで

冒頭の「江戸一」に繰り出すとしましょう。

楽しみだなァ。

 

「洋食 GOTOO

 東京都豊島区南大塚3-54-1

 03-3983-0613