2021年10月1日金曜日

第2754話 から揚げに 圧倒された やきとり丼 (その2)

日本橋茅場町の「やき鳥 宮川」。

やきとり丼と一緒にお替わりのスープが供される。

これは手厚いサービスといえよう。

焼き鳥はレバと砂肝が5ピース・イーチでねぎまも

もも・ねぎ・もも・ねぎ・ももと実質5ピース。

もみ海苔があしらわれている。

 

薄味のゆるいタレが多すぎて、しょっぱくはないが

ごはんがビショビショ、牛丼のつゆだく並みだ。

大のつゆだく嫌いにコレはツラい。

オマケに肝心の鶏肉がちっとも旨くない。

こぞってフライドチキンに走る理由がここにもある。

 

近いうちに出直そうかな?

から揚げは嫌いじゃないが好んで食べる習慣もない。

その日の風まかせにしとこう。

いずれにしろ店主は直ちに

{やき鳥 宮川}の看板を外し、

「から揚げ 宮川」にすげ替えるべし。

 

不満を引きずりながら足取り重く歩いた。

兜町の証券取引所を尻目に江戸橋で日本橋川を渡河。

小伝馬町から須田町と来て、万世橋で神田川を渡る。

このまま真っ直ぐ帰ればよいものを上野広小路。

ここまで来たらいつもの店が待っている。

以下省略となるところ、今話はそうもいかなかった。

 

「ほていちゃん 上野4号店」の2階に上がると

季節限定の生すだちサワーの貼り紙。

大瓶のあとに切り替えて発注した。

 

ジョッキにすだちがいっぱいだ。

左手に持つマドラーで氷の下から引きずり出し、

右手の親指・人差し指・中指でギュッと搾る。

この動作を12回繰り返した。

 

脇に拡げたお手拭きの上に並べたら

1/6カットのすだちが12個。

丸々2個投入されていたわけだ。

いや、美味いねェ、さわやかだねェ。

 

とうとう歩き通してわれ棲む町にカムバック。

茅場町から1万4千歩を要した。

雑誌を買うため、近所のコンビニに立ち寄ると

知り合いのオバさんにバッタリ。

 

歩み寄って来たオバさんが耳元でささやいた。

「こないだ教わった鳥屋さん、さっき行って来た」

「ああ『鳥安』ネ、うなぎ食べたの?」

「ううん、鳥屋さんなので鳥にしてみた、から揚げ」

「エッ、から揚げ!」―

ここでもから揚げかい、何か付きまとわれてるな。

 

「で、旨かったの?」

「うん、とっても、アレはスゴいわ」―

そう言いながら、右手の親指と人差し指で

小さなマルを描いてみせられ、

疲れがドッと出たJ.C.でした。

ハァ~、やれやれ。

 

「やき鳥 宮川」

 東京都中央区日本橋茅場町3-5-1

 03-3668-7080

 

「ほていちゃん 上野4号店」

 東京都台東区上野6-13-2渡辺上野ビル2F

 03-6284-4130