2021年10月20日水曜日

第2767話 ジ・オールドフレンド・フロム・CB

旧友が千葉の内房から出て来た。

N田クンは高校一年のクラスメート。

ラグビー部の彼とサッカー部のJ.C.

放課後のグラウンドで隣り同士。

教室を出ても毎日顔を合わせたものだ。

 

7年ぶりの酌交は「三州屋 飯田橋店」。

地番でいう飯田橋は千代田区ながら

此処は新宿区・下宮比町。

まっ、JR飯田橋駅が目と鼻の先にあるけどネ。

 

当店のビールはサッポロの赤星か黒ラベル。

黒ラの大瓶を注ぎ合ってグラスをカチン。

お通しはにんじん&もやしの炒め煮。

切り干し大根をもやしで代用したようなヤツだ。

けして感心しないが不味くはなかった。

 

さて、つまみの吟味。

おっと、此処はテーブルに品書きがないんだ。

しかも入口近くの壁は全品載っていない。

「しょうがない、奥まで見に行くか?」―うながす。

「適当に見繕ってくれ」―N田が応えた。

 

セリの辛子和えを通しておいて、めじまぐろを―。

残念ながら今日はまぐろだけとのこと。

めじは本まぐろの青春期。

いわばツナのティーン・エイジャー。

数日前の「天庄」も未入荷だったっけ。

 

この時期ともなれば、はえ縄を逃れて命拾いした、

若きまぐろはみな大人に成長したらしい。

同慶の至りなれど、とどのつまり、

とっ捕まって食われちまう運命なんだ。

 

まぐろの命は短くて美味しきことのみ多かりき

 

仕方なく、かつおに切り替えると、これもナシ。

白身の揃えを訊ねても本日は真鯛のみ。

結局は振り出しに戻り、まぐろ刺し。

都内に散在する「三州屋」の名物、

銀むつの照り焼きもお願いした。

 

中トロのまぐろは脂ノリノリ。

大ぶりが8切れあり、J.C.は2切れでイナッフ。

あとは食の太いN田にオッツケる。

 

彼はビールを2杯干し、常温の白鶴にスイッチ。

こちらはしばらくビールで通す。

出会いから半世紀のオールドフレンド同士は

渡辺真知子じゃないけれど、

現在・過去・未来、まったく話題にこと欠かない。

 

久方ぶりの美酒、快話に笑いも絶えない。

師走に年忘れの酌交を約し、

酒類提供の制限時間いっぱいでお開きとした。

 

「三州屋 飯田橋店」

 東京都新宿区下宮比町1-7

 03-3267-2465