2022年1月4日火曜日

第2921話 独り酒場で年忘れ (その1)

時間軸が前後するが

今話は昨年暮れのハナシ。

二日間に渡り、独り忘年の酒盃を傾けた。

浪花の小姑に

「飲み過ぎはアカンで~!」―

再三、釘を刺されたにも関わらず。

 

一日目、現れたのは西新宿の思い出横丁。

都内有数の繁華街ながら滅多に来ないエリアだ。

何度も言うようにホームグラウンドはエンコとノガミ。

ブクロはときどき出没するが

ジュクはどうにも食指動かず。

むしろオッサンと無縁の街、

ヤシブに出掛けるほうが多いくらい。

 

横丁の町中華「岐阜屋」のカウンターに着く。

女子体操の段違い平行棒みたいに

二段構えのカウンターの下側で

ビールの銘柄を訊ねるとアンちゃん応えて

ラガー、クラシックラガー、一番搾り、

キリン一色と来たもんだ。

 

何考えてんだァ、バカじゃないのっ。

いや、こういう物言いはよくないネ。

エニウェイ、ノー・アザー・チョイス。

一番ダメージの小さい一番にしといた。

 

時刻は14時半、昼めしがまだだったので

麺半分のタンメンを通す。

餃子に水餃子ある如く、肉野菜炒めに

水肉野菜炒めがあってもいいじゃないか。

半麺タンメンはまさしくそんな感じ。

常温の紹興酒とともに味わった。

 

普段行きつけないところに行ったから

気の置けない場所に移動したい。

2軒目は五反田のいつもの店。

「酒蔵 ごたん田」はココロのお母さんと

新入りバイトのアンちゃんが迎えてくれた。

 

「こちらのお客様、ビールは泡ナシなのヨ」―

この教育的指導が実にありがたい。

中ジョッキと一緒にまぐろ山かけを―。

突き出しはいつものキンピラやひじきではなく、

スパゲッティサラダだ。

 

ジョッキを3杯空け、お母さんに挨拶して3軒目。

徒歩数分のおでん屋「若ちゃん」は昭和23年創業。

最後に訪れたのは13年前のやはり師走だった。

あのときの若女将が今は女将となり、

髪が真っ白に染まっている。

 

それじゃ「若ちゃん」じゃねェだろ! ってか?

いえ、女将の苗字が“若島サン”なんざんす。

生ビールをたっぷり飲んで来たのに

あらためて黒ラベルの大瓶をお願いした。

 

=つづく=

 

「岐阜屋」

 東京都新宿区西新宿1-2-1

 03-3342-6858

 

「酒蔵 ごたん田」

 東京都品川区西五反田1-4-2

 秀和五反田駅前レジデンス2F

 03-3490-9233