2022年1月11日火曜日

第2926話 駒込の「巣鴨」で浪曲子守唄

朝目覚めて紅茶を飲みながら

今日の昼めしは煮魚か焼き魚をと思った。

入浴後、朝食抜きで家を出て

不忍通りをテクテク、駒込にやって来た。

 

いつも立て混む「巣鴨ときわ食堂 駒込店」だが

一番奥の二人掛けに滑り込めた。

目の前は二畳ほどのパントリー。

キッチンとホールをつなぐスペースだ。

居心地は巣鴨本店が快適ながら

駒込支店もけして悪くない。

 

本日の定食は

ロース生姜焼き・さば味噌煮・真ほっけ開き・

ぶり照り焼き・鰆(さわら)照り焼き

ドライの大瓶、さば味噌煮を通す。

 

「お味噌汁、大変熱いのでお気をつけ下さい」―

お運びさんに注意を促された、

わかめドッサリに油揚げの浮く椀は本当に熱々。

白味噌ベースで美味しい。

 

主役のさばは半身付けでボリューム満点だが

ヤケにぬるく、温め直し不十分。

それでも赤味噌の味付けよろしくパクパクいただく。

きゅうり&大根ぬか漬け、野沢菜の新香と

盛りのよいごはんも完食した。

 

パントリーを眺めていたら

此処を担当するオネエさんが大忙し。

保温ジャーのごはんを次から次へ茶碗に盛りつける。

突如、一節太郎の歌声が耳の奥で鳴り出した。

 

♪  どこか似ている めしたき女

  抱いてくれるか ふびんなこの子

  飯場がらすよ うわさは云うなよ

  おれも忘れて 浪花節

  三ツ聞かそか ねんころり  ♪

     (作詞:越純平)

 

1963年リリース「浪曲子守唄」の3番だ。

歌詞は飯炊女だが目の前の彼女は飯盛女。

おっと、いくら何でも

カタギの若い娘さんつかまえて飯盛女はないやネ。

 

ちょいと調べてみたら江戸の昔、飯盛と飯炊は

同義語で飯炊女は主に上方で使われたらしい。

宿場で客の世話を兼ねる私娼を指し、

宿場女郎とも呼ばれた。

 

接客係はみな下げ物をしてパントリーに戻る際、

「ただいま~!」―必ず声掛けをする。

狭いスペースで衝突を避ける知恵だろう。

 

定食のリストから、さば味噌煮が消され、

かわりに単品のさんま開きが定食に加わった。

これで煮魚が失くなった。

残り少ない煮魚にありつけ、

こいつは春から縁起がいいわい。

 

「巣鴨ときわ食堂 駒込店」

 東京都豊島区駒込3-3-21

 03-6903-7807