五反田のおでん屋「若ちゃん」。
先客はリーマン3人組だ。
大根なますの突き出しを差し伸べながら
「おでんは何を?」―女将に問われたが
すじ子おろしを所望した。
3人組のリーダー格がくさやを通す。
いや、マイッたな。
当方、剣菱の樽酒に移行して
おでんはつみれ&鯨コロを―。
いつの間にか5人の会話が始まり、
リーダー格からくさやのおすそ分け。
断るわけにもいかず、小片を一ついただく。
滞空45分で早めの帰途に着いた。
翌日も仕掛けは午後から。
JR埼京線・板橋駅に近い「やきとん きみおも」を
訪れると店名が「やきとん ひなた 板橋店」に―。
数年前「きみおも」はひなたグループに吸収されたが
本家の名を名乗るようになった。
15時ちょうどで客入りは5割。
入口そばのカウンターを促される。
ドライ中瓶、やきとんはカシラ、タンシタを塩で。
菊正宗の熱燗とレバをタレで追加し、
蒸ししゅうまいも2個お願いしたうち、レバが特筆。
女性の焼き手が男性スタッフをリードしており、
店長格は彼女だろう。
滞空は30分少々、2軒目に向かう。
去り際、店長がわざわざオモテに出て来て
来店のお礼と今後もよろしくのひと言。
一瞬、郷ひろみの“哀愁”がよぎったけれど
ソイツは置いといて、とにかく心証をよくする。
近いうちの再訪を約し、手を振った。
中山道を北に横断し、石神井川を金沢橋で渡り、
十条駅前にやって来ると再開発で景色は様変わり。
おやっ、17時前なのに「斎藤酒場」の暖簾が出ている。
歓び勇み、昭和3年創業の敷居をまたいだ。
生も瓶(赤星・黒ラベル・エビス黒)もサッポロ一色。
前日の西新宿「岐阜屋」に対抗するが如し。
黒ラベルと串カツ(2本)を通す。
焼き文化さば(550円)さば味噌煮(420円)以外は
みな 2~300円台の品揃えはさすが十条のランドマーク。
「天将」亡き今、余計にその感を強くする。
突き出しは大根と大根葉の浅漬け。
ほんのりと柚子が香り、
よく見ると柚子皮が散見される。
この効果は大きく、大根役者を千両役者に変身させた。
珍しいむかご(零余子)の塩ゆでを見つけ、即注。
むかごは山芋類の茎が丸く太ったもので晩秋が旬。
黒エビスの小瓶とともに季節の移ろいを味わった。
滞空40分でおいとまし、
これが丑年、外での飲み納めとなりにけり。
「やきとん ひなた」
東京都板橋区板橋1-48-1
03-3961-3743
「斎藤酒場」
東京都北区上十条2-30-13
03-3906-6424