2011年3月9日水曜日

第7話 昼も夜も西荻で (その1)

天候に恵まれた先の土曜日のことである。
タンメンに狙いを定めた西荻南口の「はつね」は
長い行列に怖気づいて断念、これは昨日記した。
それではと北口に移動して「支那そば いしはら」へ。
店主は浜田山の名店「たんたん亭」の創業者だ。
後進に道を譲ったあとは
その真ん前で和食店を営んでいたはずだが
数年前にそちらをたたみ、
この支那そば屋を開いたのである。

むろん「たんたん亭」名物のワンタンメンがここにもある。
てるてる坊主みたいに丸っこいワンタンが
肉・海老・ミックスと3種類揃うところも同じだ。
肉と海老が2つずつ入ったミックスを所望した。
これが1000円ちょうど。
他者のブログ等では海老ワンタンの食感が悪く、
「たんたん亭」のほうが上とみなす声が散見されるが
実際に食してそうは思わなかった。
ウインナーソーセージにあら挽き・ほそ挽きがあるごとく、
「いしはら」の海老はほそ挽きを施されているのだ。
あら挽きが好まれるここ四半世紀ながら
キメ細やかでじゅうぶんに美味しかった。

壁の品書きには麺類以外の料理が並んでいる。
軽いつまみにとどまらず、自家製甘鯛の一夜干しや
和牛みすじのステーキまであった。
この日の夜、舞い戻ってガラス戸越しにチラリとのぞいたら
晩酌を楽しむ近隣の常連客が何人かみとめられた。

食後は東京女子大前のパティスリー「アテスウェイ」へ。
西荻で3本の指に入る有名店はケーキとパンの二刀流。
時刻は午後1時で訪れる客が引きも切らず、
人気の高さをうかがわせる。
女性のみならず、男性客が多いのは意外だった。
値段が値段だからか、東京女子大生は皆無。
このお店、彼女たちには高嶺の花かもしれない。
と思ったものの、今日は土曜であった。
登校する学生はほとんどいないやね。

レギュラー、バターたっぷりと、
2種類あるクロワッサンからバターたっぷりを1つ購入。
具だくさんで生地が分厚い角切りのピザも1枚。
翌日食べたらクロワッサンはなかなかのデキ。
ピザも食べ出だけはあったけれど、
具のじゃが芋が食感を損ねて残念。
どうやら「アテスウェイ」の人気はパン系ではなく、
洋菓子にありそうだ。

青山学院大のすぐそばに
「アテスエ」なる古いフランス料理店があった。
好きな店だったが昨年末に閉店してしまった。
「アテスエ」も「アテスウェイ」も意味は同じ。
「お会いできてうれしい」という仏語だ。
だけれども「アテスエ」にはもう会えない。

=つづく=

「支那そば いしはら」
 東京都杉並区西荻北3-22-22
 03-3395-8450

「アテスウェイ」
 東京都武蔵野市吉祥寺東町3-8-8
 0422-29-0888