2011年3月22日火曜日

第14話 決勝戦の夜 (その2)

伊勢佐木町の酒場「長八」に来ている。
ポテトサラダでビールを飲みながら
数枚のメニューを吟味していて目にしたのがこれだ。

 =今月のサービスコース=
           御一人様 2800円
  御料理
   一、小鉢
   一、刺身
   一、湯豆腐
   一、いかフライと串かつ

  御飲み物は二時間迄
  八海山・久保田千寿・生酒を除き
  何でも飲み放題です

ふ~む、呑ん兵衛にはたまらん趣向じゃないか。
日本酒党は舌なめずりをするだろう。
飲むだけで元が取れちゃいそうでもある。
しかるに今宵はアジアカップの決勝戦が控えているので
酒量は極力抑えなければならない。
肝心の試合中にうたた寝でもしたひにゃ、エラいこっちゃ。
〆さばでビールをもう1本飲んで宿に引き上げた。

ホテルの自販機で買った缶チューハイをやりながらTV観戦。
昼間のうちに仕入れておいた「三貴屋製パン」の
野菜サンドとメンチドッグはハーフタイムに食べた。
試合の結果は周知の通り、李忠成のボレーで決着だ。
振り返れば、ずいぶん昔のことのように思える。
震災に襲われる前の平和な日々は帰らざる日々、
時間を巻き戻せるものなら、そうしたい。

勝利の一夜が明けてスッキリと目覚めた。
朝の散歩がてらに再びよこはまばし商店街へ出向く。
中華街から離れていても中華の惣菜屋があった。
売り子の顔と商品のイメージがピッタリ

豚足でも買おうと思ったが荷物になるのでやめた。

昼めしは横浜名物というか、
神奈川県の誇るB級ご当地グルメ、生馬麺にした。
生き馬の麺と書いてサンマーメンと読む。
たまたま見つけた「大沢屋」という店のたたずまいに
ここなら大丈夫という確信を得たからだ。

これが正統派の生馬麺

口当たりのやさしいスープは化学調味料控えめ。
シコシコでノビにくい細打ち麺も歯ざわりよし。

横浜のラーメンというと、
”家系”ばかりが大手を振って歩いているが
あんなケモノ臭いギトギト麺よりも、
生馬麺のスッキリ感こそがこの地の王道なのだ。


「三貴屋製パン」
 神奈川県横浜市南区中村町3-200-2
 045-251-9602

「長八」
 神奈川県横浜市中区吉田町2-2
 045-252-7216

「大沢屋」
 神奈川県横浜市中区若葉町3-57
 045-251-4257