2011年3月17日木曜日

第11話 米とサカナと放射能 (その2)

東京発の世界的株安の一環で
15日のニューヨーク・ダウは大幅に下げた。
16日の東京市場の上昇を見て
持ち直すかもしれないが、やはりそいつは望み薄。
海外の株安の原因が地震そのものよりも
福島第一原発が発する放射能にあるからだ。
この問題において欧米人は日本人よりずっと神経質だ。

大震災発生後、ほどなくして
欧米の友人から幾多のお見舞いメールが届いた。
彼らが一様に敬意を表するのは
災害時ににおける日本人の沈着さと自制心。
そして復興に向けるひたむきな姿勢だ。
欧米人には日本人の持つ、ある種のストイシズムが
武士道精神に重なって映るらしい。

ところがどっこい、こと原発事故となるとハナシが違う。
身に降る火の粉にもはや悠長なことは言ってられない。
各国政府は日本にいる自国民を何が何でも救わねばならぬ。
出国管理官ではないから正確な数字をつかめないが
日本脱出は深く静かに進んでいるようだ。

世界に冠たるエレクトロニクス大国日本の
技術力とノウハウをもってしても
制御不能に陥っている福島原発を目の当たりにして
明日はわが身の諸外国首脳が硬直するのはよく判る。
ドイツのメルケル首相の会見など如実にそれを示している。
日本でさえああいう状態ならウチはいったいどうなるの?
不安は果てしなく拡がるのだ。

メディアの一部がチェルノブイリの再来とあおるなか、
専門家の見方はおおかたそれに否定的。
知識に乏しいわれわれ素人は
素直にセンセイ方を信じるほかに手立てがない。
信ずる者が救われる保証はどこにもないのだけれど・・・。

それはさておき(さておけませんがネ)、
とまれ、昨日書いた通りに米はあっさり米屋で買えた。
次に回った魚屋でも米屋同様に在庫はじゅうぶん。
刺身だけでも真鯛・縞あじ・本まぐろ・
赤貝・真だこ・蛍いかの揃い踏みだ。
ここには常に酢〆があるのもうれしく、
昨夜は小あじ・小いわし・さばが居た。
縞あじ・小いわし・さばを少しずつ購入する。

オツリをくれながら店のオヤジがボヤいた。
「お客さんがみんなスーパーに流れちゃって、
こんなにサカナがあるのに普段よりヒマですヨ」
米にしろ、サカナにせよ、それ一本の専門店にゃ、
まだまだブツが残っているもんなんですネ。

世のオバタリアンよ、もうやめましょうや、
愚かな買占めなんて。