2011年5月3日火曜日

第44話 白金 四の橋 主菜はウズラ (その2)

白金・四の橋「ラビラント」でメニュー吟味の真っ最中。
余談ながら四の橋はなじみ浅からぬ街である。
一時期、友人が棲んでいたのでちょくちょく遊びに来た。
あれから一昔、10年も経っちまったんだなァ・・・。
月日は流れ、人は年齢を重ねる。
このことを苦にしていたら人類は生きていけない。

おっとそんなことより大切なのは
これから食べる料理の品定めであろうよ。
明日を生きるためにも今宵を食べねばならぬ。
「ラビラント」の必食アイテムは
何を差し置いてもツガニのビスク。
四万十川の清流に育まれた蟹のポタージュは
花の都広しといえどもここだけのもの。
余計なことを考えず、ストレートに味わいたい。
あとは前後に前菜と主菜を配すればそれで済む。
春の宵、迷った末に絞り込んだ候補は下記の通り。

前菜
 漁師風サラダ 甲殻類のドレッシングソース
 仏産エスカルゴとリ・ド・ヴォーのパイ仕立て
 伊豆の葉わさびと丹波産仔猪の網焼き サラダ仕立て
 馬肉のタルタル トラディショネル

主菜
 春のアサリのマリニエール(500g)・・こんなに食えるか!
 丹波産仔猪と筍の煮込み
 ドンブ産ウズラの黒米詰め 大根のテュイル仕立て
 仔牛フィレ肉のパイ包み焼き フランボワーズソース

選んだのは、わさび葉と網焼き猪のサラダ仕立て。
そしてウズラのロティの黒米詰めだ。
猪はなかなか食べられないから
外食時、殊にフレンチやイタリアンでは積極的に注文する。
フォワグラならぬ黒米詰めのウズラも
なあに、ウズラ本体が滋味たっぷり、
あえてガチョウの肝の助けを借りずとも楽しめる。 

いざ食してみて、どちらも及第点。
素材の持ち味が素直に発揮されていた。
ところが、そのあとがイケなかった。
一体全体、いつ、どこからやって来たのか、
呼吸の合わないメートルのあざとさ、ここに極まれり。
フロマージュは彼の顔を立てて少しずつお願いしたのに
ちゃんこ鍋の具材さながらテンコ盛りで運ばれた。
そのチャージは推して識るべし。
イタリア人なら「マンマ・ミーア!」と天を仰ぐところであろう。

今さら愚痴は言うまい、嘆くまい。
おのれの心に言ってきかせたところで、さらに追討ち。
またもや、どっさりオッツケられたデセールがヒドかった。
時代遅れの甘味は大きいばかりで女性軍もお手上げ。
どうやら今まで評価の高かった店に
とうとうサヨナラを告げる日が来たようだ。
かくして佳店は客を失ってゆく。
サビし~い!

「ラビラント」
 東京都港区白金3-2-7
 03-5420-3584