2011年5月4日水曜日

第45話 ツツジと生菓子

連休2日目は板橋に遠征。
友人の I 﨑家において
月例で開かれるドライスイミング大会に参戦だ。
ドライスイミングとは何ぞや?
乾いた水泳、水のないスイミング、
実は麻雀のことなんですね。
東南アジアのシンガポール特有の言い回しで
雀牌をかき回す手の動きが
平泳ぎに似ているところからきている。

戦いすんで日が暮れて恒例の宴会が始まった。
宴もたけなわで話題が突然、根津神社のつつじ祭りに及んだ。
4月初旬から5月5日まで、祭りが谷根千の人気を独占する。
ただでさえ、広くもない町に老若男女が入り乱れ、
咲き乱れるツツジを愛でるのである。
美しさを絶賛する友人の意見を尊重して翌日出掛けていった。

今まで何度か訪れているがいつもサラッと通り過ぎるのみで
「つつじ苑」なる丘の存在に気づいていなかった。
入園料は200円、へェ~ッ、有料だとも知らなんだ。
ほう、なるほどネ、
小高い丘に上ってみれば絶景なり、絶景なり。

遠くに赤い鳥居が連なっている

色鮮やかなツツジがさまざまに咲き誇るなか、
可憐な一株に目がとまった。

淡い緋色のカエデツツジ

屋台も何軒か、賑わいに彩りを添えている。

若者はのしいかなんて食べるのかな?

最近の屋台の新顔は肉巻きおにぎり。
昔の人間は聞いただけ、見ただけで、げんなりしてしまう。
今年は震災の影響で都民が遠出を控えているため、
都内、あるいは近場の景勝地が人気を集めているという。

神社の北側、根津裏門坂に抜けて坂を上ると、
すぐ右手に菓子鋪「一炉庵」が現れる。
茶会の席になくてはならない上生菓子が評判の老舗だ。
何度も店先を通っているが初めて引き戸を引いてみた。

この季節は何といっても粽(ちまき)と柏餅。
粽は一束ねの販売につき、バラ買いのできる柏餅を購入。
 白餅・こしあん 薄紅餅・みそあん 草餅・つぶあん
以上3種類から、こしあんとつぶあんを1つずつ。
せっかくの初訪問、名代の生菓子を買わぬ手はなかろう。
ケースには色とりどりにおよそ10種類。
普段は迷うところながら意外と早く決断してこちらも2つ買った。

端午(赤)&かぶと(黒)

食べるのがもったいない? 
トンデモないこって、食べるのがとても楽しみだ。
いざ食してみると、柏餅もかぶとたちもまことにけっこう。

デパ地下に出店なんかしないし、お取り寄せも不可能、
ここに来なければ手に入らない。
東京のみやげにしたって、こういうものこそ最適ではないか。
東京ばな奈にうらみはないが、あんなモンはどこでも買える。
真心のこもった手みやげだけが人の心に響くのだ。
ちなみに漱石の「吾輩は猫である」のモデルは
往時、この店にいた猫である。

「一炉庵」
 東京都文京区向丘2-14-9
 03-3823-1365