2011年5月9日月曜日

第48話 咬みつき亀におつき合い (その1)

薄髪の吸血鬼、またの名を的外れの咬みつき亀こと、
友里征耶が拙文垂れ流しの自身のブログで懲りもせず、
はなはだ五月蝿いことを書き連ねているとの報告を受けた。
誰かをけなしていないと生きてゆけない哀れな生き物は
まさしく五月のハエと揶揄するにふさわしい。

今しばらく泳がせておくつもりだったが(オイラは刑事か?)、
このところ俄かに周りがざわついてきてそうもいかなくなった。
何人もの読者の方が
「亀が言いたい放題ですよ、放っといていいんですか?」―
口々に心配してくださる。
どうせ構ってほしくて吠えてるものと知りつつも
つまらんブログをのぞいてみると、
やれやれ、原発の専門家気取りで勘違いの乱発をしておる。
ありゃあ、いったい何様かね?
話題にしちゃうと奴サンの思うツボなれど、
たまには相手をしてやってもいいかなという気になった。

よほど友だち(特に女性の)がいないのだろう、
電話を掛けて来て晩メシにつき合ってくれというから
それもよかろうと、湯島天神の石段を上ったのは
小雨パラつく肌寒い夕暮れのことであった。
以前はときどき食事会を開いたF元・M松両女史にも声を掛け、
4人で卓を囲んだのは界隈で評判の「ビストロ タカ」だ。

こういった場所では好みのビールにはまずありつけない。
御徒町のスタンドバーに立ち寄り、
生ビールを1杯、クイ~ッと飲ってきた。
思惑通り、店にあったのはプレミアム・モルツ。
CMで頑張る永チャンと結子には悪いけど、
プレモルはいささかリッチ過ぎるのよね。
好みの生ビールを飲んだことだし、珍しくギネスを所望した。
ワインは白がリュリー、赤はカオールとボーヌに決定。
4人で3本は適量であろう。

メニューを開くときわめて限定的でガッカリ。
なおかつ欠品があったりして
選択&構築の楽しみを奪われたも同然だ。
これは大きなマイナス要因。
駄目もとでメニュー以外の料理の有無を訊ねると、
前菜用に自家製ニジマスの燻製があるという。
ふ~ん、ニジマスかァ、アユかヤマメだとよかったのになァ、
でなことを考えつつもお願いしてみた。

はたしてサラダ仕立てで登場したニジマスのスモークは
淡白ながらもさわやかな味わいがあった。
それより驚いたのは
うっすらとサーモンピンクに色づいていたことだ。
はは~ん、これはいわゆるサーモントラウトというヤツだな。
甲殻類の成分を含む飼料を与えられ、
海洋上で養殖されるニジマスは身肉が色づき、
体長1メートルにも達すると聞いたことがある。
キングサーモンのように脂のノリはなくとも
アッサリしていていいじゃないか、
舌に柑橘の酸味を感じながら、そう思った。

=つづく=