2011年5月26日木曜日

第61話 野方で明暗分かれるの巻 (その1) 

ついこの間、何人かの読者の方から
「しばらく居酒屋・酒場の紹介がないのはどうしたことだ!」
てな、お叱りを受けたばかり。
それではと、努めてその類いの店を積極的に取り上げていたら
今度は
「最近は居酒屋ばっかじゃないか、飽きたからいい加減にしろ!」
こう言われる始末。

いったいぜんたい、どうしたら歓ばれるんでござんしょうか?
アメリカ人なら大げさに両手を拡げて
「What Can I Do?」―こう嘆くこと必至である。
いいでしょう、いいでしょう、
今回を最後に最低1週間は
赤ちょうちんと縄のれんを封印いたしやしょう。

そこで、というわけでもないが、西武新宿線・野方にやって来た。
中野からテクテクと歩いてネ。
この日は食事処「野方食堂」が目当てだ。
メニューは豊富だし、小ぎれいだし、
期待に大きく背くこともなかろうと皮算用をはじいた次第。

沼袋を経由し、野方の町に入ったとき、
思い出したのは焼きとん「秋元屋」のことである。
時間が17時前とあって、目当ての暖簾もまだ出ていないハズ。
迷うことなく「秋元屋」に直行し、焼き台の真ん前に陣取った。

串が焼き上がるまでの間、
サッポロ黒ラベル(大瓶550円)の友となるのは
100円ポッキリの甘らっきょう。
これを1粒口にした瞬間、
今は亡き三木のり平の面影が目に浮かぶのは
ひとえに「桃屋」のCMのおかげであろう。

多少の例外があっても基本的に焼きとんは1串100円。
焼き鳥のほうが高くて120円。
ランダムに1本ずつ焼いてもらう。
ハツ・チレ・コブクロ・シロコロは塩、レバはタレだ。

手前シロコロ、奥コブクロ

ちなみにチレは脾臓、コブクロは子宮のこと。
焼きとんというヤツは旨くて安くて栄養価が高く、
しかもビールとの相性がピッタンコときては
もう、やめられない、とまらない、
かっぱえびせんも真っ青の代物ですナ。

鳥系からも2本お願いした。

手前背肝、奥セセリ

背肝は腎臓、セセリは首肉である。
ネギマ・ササミ・砂肝・ツクネの基本路線も悪くはないが
稀少部位が揃った店に来たら絶対に試すべき。
当夜食した2本など、
鳥肉専門店でさえ、めったに手に入らないもの。

さあ、そろそろ切上げて
当初の目的地、「野方食堂」へ移動、移動。

=つづく=

「秋元屋」
 東京都中野区野方5-28-3
 03-3338-6236