2011年5月6日金曜日

第47話 わさび茶漬け2種 男やもめのキッチン Vol.1

今日は”男やもめのキッチン”シリーズ第1回。
禁断を破って男子、厨房に入れども、
なるったけ手を抜いて手間ひま掛けずに
旨いもんを作って食べようという試みである。

ずいぶん古いハナシで恐縮ながら、
新婚時代の小林旭は
新妻・ひばりが丸一日掛けて作る手料理を
待ちくたびれて音を上げたそうだ。
読者も一度や二度は経験がおありでしょう。
恋人に愛情のこもった手料理を振舞われるのは
ありがたき幸せなれど、
ビール飲み飲み待ってるうちに、すっかり出来上がってしまい、
ついうたた寝の挙句の果てが、いつの間にやら白河夜舟、
なんてことがネ。

今回作るのは2種類のわさび茶漬け。
それでは参りましょう。

用意する食材は
 本わさび・山わさび・・・それぞれ1本
 醤油・日本酒・・・適宜
 白飯・・・お好きなだけ(できれば炊き立てが望ましい)
 煎茶・・・お好きなだけ(白湯でも構わない)

茶漬けを食べる前日に本わさびの茎を
マッチ棒ほどの千切りにし、
醤油と日本酒、同割りの漬け汁に漬けておく。
こうしておけば数ヶ月は平気で持つ。
わさび本体は大き目の容器に水を張り、
チャポンと落として冷蔵庫にキープ。

山わさびは仏語でレフォール、英語でホースラディッシュ。
同じく前日に丸1本をすりおろし、
やはり醤油・日本酒を同割りにして
おろした山わさびにたっぷりと掛け回し、冷蔵庫にキープ。
これも1~2ヶ月はラクに持つので重宝する。
いか刺しやあじのタタキなんかにはピッタリ。

炊き立てのごはんの上に茎わさびの醤油漬けを乗せ、
そのまた上におろし立ての本わさびをチョコン。
塩気が足りないから醤油を数滴垂らし、
あとは熱い煎茶を掛けて召し上がれ。
二膳目はおろした山わさびの醤油漬けを乗せ、
こちらは醤油っ気じゅうぶんにつき、
煎茶を掛けてサーラサラ、である。

サイドの香の物には奈良漬か山ごぼうが理想的。
たくあんと福神漬けはよしたほうがいい。
せっかくのわさび茶漬けに気品がなくなる。

好みで針海苔やもみ海苔をあしらってもよいし、
これだけじゃもの足りないと感じる向きは
おぼろ昆布の吸い物を煎茶代わりに用いても美味。
昆布とわさびはなかなかの相性を見せる。
ほかに釜揚げのしらすや白魚、
あるいは桜海老を加えれば、
優雅な彩り、風雅な味わいが約束されようというものである。