九州北部の福岡・大分県あたりでは
両面焼きそばなる代物がポピュラーらしい。
首都圏では数年前に「あぺたいと」という店がお目見えした。
板橋北部、埼玉県との県境の高島平本店のほか、
江戸川区・鹿骨や埼玉県・戸田市にも展開している。
両面焼きを試すため、その夜は板橋支店にいた。
つまみに頼んだ3種盛りが今ひとつで盛り上がらない。
品書きと実物との差異を根に持ったわけではないが
ちょいとおざなりで退屈な3種盛りだった。
量的に小・中・大・ビッグ・ばくはつの5段階あって
値段は590円から1270円と幅がある。
小を頼んで食してみると、確かに硬めに炒められているものの、
別段、これといった特徴があるものではなかった。
まあ、ハナシの種に一度は食しておいてもよいという程度だ。
早々に次の店に回った。
こちらはしかと目星をつけておいた居酒屋「政屋」。
ウリモノはおでんである。
女将は日中、鮮魚店で働いているらしいが
仕込みもあるのに、そんなことが可能なものだろうか。
以前は都営三田線・新板橋駅近くにあり、
立ち退きか何かでこの冬、移転して来たばかり。
もっとも徒歩で1~2分の距離だから
なじみ客を失う懸念はまったくなかった。
最初に立ち呑みで開業したのは1978年のことだそうだ。
テーブル席があるにはあるが、常連はみなカウンターに落ち着く。
女将との会話ナシでは飲みに来た意味がないと言わんばかりだ。
傑出した器量や話術の持ち主ではないものの、
妙に心休まる雰囲気を持ったオバちゃんである。
湯気を立てている鍋のおでんをのぞき込み、
好みの種を選ぶシステムは3品でたったの380円。
しらたき以外はめったに頼まぬ種だ。
皿を見ていて思った、ハハハ、根菜ばかりじゃないか。
もも肉のぶつ切りが滋味たっぷり。
焼け焦げの香ばしさも手伝ってなかなか旨い。
神保町の気に入り店「多幸八」のそれに似たタレもけっこう。
これはおでん以上の必注品ですナ。
当夜は女将の孫娘が手伝いに来ていた。
しばらくするとお腹がへったのか、賄いのお時間。
「何食べたいの?」―女将に訊かれて
「厚揚げ焼き!」―こう応える。
ほう、てっきり焼き鳥や焼肉(メニューにあったかな?)かと思ったら
今の若い娘にしてはずいぶん枯れたモンを食いたがるじゃないの。
サッポロの赤星ラガーを飲りながら、つい、便乗してしまう。
1枚焼くのも2枚焼くのも手間ひまァ一緒だし、
節電ならぬ、節ガスにちょいとばかり協力してみました。
「あぺたいと 板橋店」
東京都板橋区板橋1-45-6
03-3579-4200
「政屋」
東京都板橋区板橋1-48-2
03-3964-8094
東京都板橋区板橋1-48-2
03-3964-8094