2011年5月16日月曜日

第53話 森下の「魚三酒場」

先週の金曜日はシステムの不具合で
記事のアップがとどこおってしまい、
ご迷惑をおかけしました。
どうやら年に一度くらいの確率で
こういうことが起こってしまうようです。
どうぞ、ご容赦を。

さて、最近は何人もの読者の方々から
ご指摘、いや、むしろお叱りを受けている。
ここ1ヵ月半というもの、大衆酒場や居酒屋の紹介が
全然ないのはどうしたことか?
飲みに行く場に困るから早急にどこか書いてほしい。
得意分野じゃないか! ですって―。

ハイ、ごもっとも。
いえ、べつに避けてたわけじゃないんですが
ふと気がついたら、しばらくご無沙汰だったんですよ。
でなことで、書きます、書きます。
そういやあ、二郎サンも天国に飛んじゃったなァ。

門前仲町のランドマークは富岡八幡宮と深川不動尊。
このことは異論をまたない。
ただし、それはまだ明るいうちのこと。
夕闇迫れば、通りをはさんで向かい側、
1軒の酒場が町の主役をつとめることになる。
いわずと知れた「魚三酒場」だ。
まるで灯りに群がる虫のごとく、呑ん兵衛たちが集まってくる。

世の中にはとてつもない酒場があったもので
メインの1階を取り仕切るのはコワい婆さん。
とりわけ女性、それもうら若き乙女なんかが
訪れようものなら目の仇、つまみ出されること必至となろう。
まっ、つまみ出されるは大げさとしても
上席の1階カウンターにはまず座らせてもらえない。
アゴをしゃくられて2階、あるいは3階へと追いやられるのだ。
まさに女はつらいよ、である。

ところが「魚三」はほかに2軒の店舗を構えている。
新小岩と森下で、今日は森下へご案内。
ここは1階だけの営業で門仲よりはずっとコンパクト。
細長いコの字形カウンターが2つあり、
それぞれにここもやはりオバちゃんが仕切っている。
愛想はけっしていいほうではないが
門仲の婆さんよりずっとマイルド、女性客も安心だ。
どちらかというと右側のシマのオバちゃんのほうが
とっつきやすいかもしれない。

本店同様に何でも安い。
ビールの大瓶が500円だもの。
左側のカウンターに陣を取り、
330円のしゃこわさをつまみに飲んでいたら
たまたま目の合ったオバちゃんが
「小肌食べる?」―訊いてきた。
「うん」―もらってみたら200円だった。
この値段だ、愛想まで要求したらひっぱたかれるネ。

行列までいかなくとも常に数人待ってるから長居は遠慮しよう。
安さにまかせてバカスカ食う店ではない。
サッと座ってサクッと飲んだらスッと席をゆずりましょう。
通りがいいので森下店としたが
高橋(たかばし)店、あるいは常盤店と呼ぶ人もいる。

「魚三酒場 森下店」
 東京都江東区常盤2-10-7
 03-3631-3717