2011年6月8日水曜日

第70話 麦つるりと藤うどん 

日本古来の麺はそばとうどん。
そうめん・冷麦など太さによる仕分けがあっても元は小麦粉、
うどんの仲間にくくって問題はなかろう。

昭和30年代にインスタントラーメンが登場して以来、
ラーメンがぐんぐん勢力をのばして国民食の座に座り、
今やこの国は世界に冠たるラーメン大国になってしまった。
やれトンコツだ、やれ魚系だと、やたらに脂っこいのや、
サカナ臭いのが大手を振って、挙句の果てはつけ麺などと、
量ばっかりで愚にもつかないものが大人気の今日この頃、
そばとうどんの素朴な美味しさは
おのれが日本人であることを思い出させてくれる。

日本列島のおおまかな勢力分布図は
東がそば、西がうどんと二分されよう。
もちろん関東にうどん好きがいるごとく、
上方にもそば好きがいることではあろう。
でただ、日本全国津々浦々、アンケートをとってみたらば、
そば派・うどん派はほぼ真っ二つに分かれるのではないか。

かく言うJ.C.は断然、そば派である。
殊に外食の場合は9割方そば屋で
うどん屋にはめったに入らない。
理由は飯よりも酒に軸足を置いているためで
そば屋なら飲めるが、うどん屋ではちと難しい。
酒とは無縁の子どもの頃はそばよりうどんが好きだった。

ところが自宅で食べるとなると、うどんがそばを駆逐する。
乾麺や半生麺の場合、うどんに優れモノが多い。
現在、わが家の食品棚には2種類の半生うどんがある。

ともにいただき物で持つべきは友なり

宮城県・登米市から遠来の”麦つるり”はR子サン、
埼玉県・春日部市より到来した”藤うどん”はHしクンから
それぞれありがたく拝受した。

これが揃いも揃って秀にして逸なのだ。
いくらもらい物でも不味けりゃブログに書かない。
平打ちの麦つるりは幅が不揃いで手造り感にあふれている。
もり・かけを選ぶことなく、独特のコシを楽しめる。
そして長所はパスタの代用品としてもイケるところ。
リボン状パスタのパッパルデッレに似ており、
バジルを利かせたトマトソースなんかピッタリ。
ボロネーゼ、いわゆるミートソースもバッチリだった。
登米市といえば、此度の震災では激震に見舞われた土地。
麦つるりは震災後、復旧のさなかに生まれた新商品である。

一方の藤うどんはほのかな藤色が印象的。
アヤムラサキ芋の色素を
埼玉産小麦・あやひかりの生地に練り込んでいる。
ほのかだった色が茹でると鮮やかな紫に変色する。
冷たいざるがオススメなれど、これまたパスタ使いOK。
ボロネーゼもいいがカルボナーラが上をゆき、
ベストはニンニクを利かせたペペロンチーノ。
この際は黄色いパプリカの千切りを加える。
茄子紺に辛子色の例えがあるごとく、
紫の地に黄色が映えて食卓の美、ここにきわまれり。

「マルニ食品株式会社」
 宮城県登米市南片町鴻ノ木123-1
 0120-58-2201

「春日部麺業組合KM」
 埼玉県春日部市藤塚2371-32
 048-736-1296