2011年6月29日水曜日

第85話 マカサラはビールのよき友 (その2)

北区・十条の「三忠食堂」で生ビールのジョッキ片手に
マカロニサラダとベーコンエッグを楽しんだ。
チェーン居酒屋みたいな出来合いではなく、
手造りのマカサラに好感が持てる。
調理と接客をたった独りでこなす、
白いゴム長靴を履いた猫、
もとい、店主の活躍ぶりにも痛く感心した。

食堂・居酒屋の定番メニューとなったマカサラとポテサラは
取りあえずの一品として何気なしに頼むことが多い。
タマにはハズレもあるが小物につき、
たとえハズレても大した痛手にはならない。
野球で言うなら立上がり初回の1失点のようなものだ。
ドンマイ、ドンマイである。
もっとも今のジャイアンツにゃ、致命傷になるけれど・・・。

ときどき、マカロニとポテトの両方が入ったというか、
マカサラ・ポテサラ合体版を出す店があるが
この混ぜこぜはいただけない。
サラダの混浴はヤッツケ仕事そのもの、
混浴が喜ばれるのはひなびた温泉と相場が決まっている。

ある土曜日の20時前後、
西武新宿線・沼袋駅前の「福久家食堂」に流れ込む。
何の変哲もないフツーの町の食堂だ。
ところが近頃は何の変哲もない店が極端に減ってしまい、
そんな店が逆に変哲のある店に様変わりしている。
おかしな世の中になったものだ。

「福久家」へは隣り駅の野方で飲んだあと、
”帰り掛けの駄賃”のつもりでやって来た。
それもふらふらと千鳥足で―。
初めての店ながら、数ヶ月前の散歩の途中、
たまたま発見して目星はつけてある。
食べ歩きは何よりも自分の脚によるパトロールが肝心、
労を惜しんでいては宝の山に登れない。
人類は歩くために二本の脚で立ったので
走るのならば四ッ足のままのほうが早いハズだ。

いろいろ飲んできたのでふりだしに戻り、
スーパードライの大瓶(580円)を所望。
表の看板は「福久家」だったがメニューには「福久屋」の表記。
まっ、こういうことはままある。
あの「弁天山」でさえ、
「美家古寿司」だったり、「美家古鮨」だったりするもん。

つまみは例によってマカサラ(160円)とオムレツ(450円)。

見た目は「三忠食堂」より旨そう

ありゃりゃ、ここにもマカサラが!

まったく懲りないオトコだねェ。
「三忠」のベーコンエッグの教訓を活かせてないなァ。
そしてマカサラ&玉子料理の組合せはもはやクセになってる。

会計後、沼袋の町をしばしさまよう。
とある、これも定食屋の貼り紙に目が点になった。

もうちょいキレイに書けないもんかね


 女性アルバイト募集
 20才~40才くらいまで(独身の方)


おい、おい、”独身の方”って何だよ?
こりゃアルバイト募集じゃなくて、テメエの嫁さん募集だな。
まともな神経のオンナならコワくて応募なんかできやしないぜ。
世の中どんどん無粋になり、
人々は”わきまえる”ことの美徳を忘れてゆくばかり。
岸谷秀吉が栄え、石坂利休は滅びゆくということか。
嗚呼、嘆かわしや。

「福久家食堂」
 東京都中野区沼袋1-36-1
 03-3387-4063