2021年11月3日水曜日

第2777話 鯨テキに思わずニタリ

JR神田駅南口の出世不動通り。

本日のランチは仙台に拠点を置く鯨専門店、

その名も「くじらのお宿 一乃谷」である。

 

昼の定食は一律980

刺身3点盛り・立田揚げ・鯨カツ・鯨ステーキ・

鯨づけ丼などが並ぶ。

ほかに刺身5点盛り(尾の身入り)が1500円。

一番人気と思しきステーキを通した。

 

配膳までの間、壁の貼り紙やら

新聞の切り抜きやら眺めて待つ。

いいことづくしの鯨肉は認知症を防ぐことが

マウス実験で確認されたという。

当店は低温熟成の鯨生肉を少量から販売するとも―。

 

立派な一皿が整った。

赤身肉はやや薄目なれど、拡がりを見せている。

10切れ以上はあったんじゃないかな。

タレというよりヒタヒタのつゆに浸っている。

 

1切れ口元に運ぶと驚くほど柔らかい。

牛フィレよりずっと柔らかい。

臭みの“く”の字すらなく、

その美味しさに思わずニンマリ。

キャベツ、サニーレタス、マヨネーズが添えられ、

マヨに七味を振って食べよと店主のアドバイス。

 

サイドにはリンゴ入りマカサラと温泉玉子。

根菜&わかめの味噌汁。

質・量とも満足の鯨に脇役陣を揃えて

よくこんな廉価で提供できるものだ。

 

道半ばでやはりビールが恋しくなった。

お運びの小姐(シャオチエ)に訊ねたらドライの中瓶。

いいでしょう、いただきましょう。

 

すると店主がまたもや声を掛けてきた。

「美味しいお通し召し上がりますか?

 赤身のユッケ、500円でけっこうですが・・・」

「食べたいけど、これでじゅうぶんかな?」

 

ハタと思いついて店主に訊ねた。

「オヤジさん、この鯨はミンクかイワシ?」

「いえ、コククジラ、じゃなかった、ニタリです」

ふ~ん、ニタリクジラかァ。

ここで流れ来たのはペギー葉山の歌声だった。

 

♪ 国の父さん室戸の沖で

  鯨釣ったという便り

  わたしも負けずに励んだ後で

  歌うよ土佐のよさこい節を ♪

    (作詞:武政英策)

 

「南国土佐を後にして」の3番に

出て来る鯨はおそらくニタリクジラ。

ニタリは土佐沖に定着しているという。

 

さっきステーキを食べてニンマリしたけど

実際はニタリと笑ってたんだネ、きっと。

 

「くじらのお宿 一乃谷」

 東京都千代田区内神田2-7-6ゆまにビルB1

 03-3254-6096