2021年11月24日水曜日

第2892話 哀しからずや文士村

都営浅草線の終点、西馬込に現れた。

ランチの目ぼしをつけたカフェで

店頭のメニューに目を通すと、

ビールはキリンのホワイトビールのみ。

白だけに白けてしまい、他を当たることに―。

 

第二京浜(国道1号線)を東に渡って南馬込。

大正末期から昭和にかけて

全盛期を迎えた、馬込文士村の中核エリアだ。

それもすでに過去の話。

散歩する文士に出会うことなどまったくない。

 

花の無い桜並木を歩いたりしつつ、

食事処を物色するが店はあまりない。

開いていたのは町場の寿司屋2軒、

担々麺専門のラーメン屋、

天丼主体の天ぷら屋、以上4軒のみ、淋しいねェ。

現状を知ったら文士たちも哀しかろう。

 

ドライのポスターに惹かれ「天ふじ」に入った。

たたずまいから推測して天丼に期待はできない。

でもいいんだ、米飯より麦酒が大切な今日この頃だ。

 

ワンオペのオバちゃんに

中瓶とランチ天丼(770円)をお願いした。

最も廉価な昼のサービス品である。

 

内容は、海老1尾、サカナ1切れ、春菊、

なす、かぼちゃ、玉ねぎかき揚げ。

豆腐・大根・ごぼうの味噌汁。

自家製白菜漬け&大根皮醤油漬け。

 

小さな1切れはイワシと思われるが

品書きにイワシものが見当たらない。

アジフライがあったからアジかもしれない。

天丼はどうにかビールの友になってくれた。 

 

食後は歩いた歩いた、テクテク、トコトコと。

西馬込―馬込―中延―戸越公園―下神明―

大井町―青物横丁―新馬場―大崎―五反田

こう来たらば、いつもの店しきゃない。

 

泡ナシ生がもう最高、このための長距離散歩だ。

お通しのひじき、焼き鳥のつくね2本だけで

4杯の中ジョッキを飲み下した。

 

今宵のNHK「うたコン」は宮崎美子が歌うらしい。

五反田駅改札前の「sakana bacca」で

かに・いくら丼を調達した。

つまみながら彼女の歌を聴くとしよう。

 

酒類販売規制が解除された今も

早帰りのクセが抜け切らないけれど、

果たしていつまで続くことやら・・・。

 

「天ふじ 南馬込支店」

 東京都大田区南馬込5-30-27

 03-3775-7695