2012年10月4日木曜日

第418話 煮込み続けて81年 にせどろ千夜一夜 Vol.7

久々の”にせどろシリーズ”。
今回の舞台は芝である。
ゴルフコースのベントや高麗の芝ではなく港区・芝のこと。
千円でベロベロになるのが”せんべろ”なら
2千円で泥酔するのが”にせどろ”。
では、さっそくまいりましょう。

当夜の相棒は水谷豊似(そうでもないか)のパクちゃん。
本ブログ初登場ののみともは40代前半の日本人だ。
目当ての店は少々判りにくい場所につき、
都営地下鉄三田線・三田駅の出口で待合わせた。
ヒマさえあれば都内23区のあちこちに出没するが
このエリアにはそうそう現れないので行き掛けの駄賃、
気に入りの角打ちに立ち寄った。
芝は隠れた角打ちの宝庫なのである。
角打ちって何だい? ってか?
う~ん、もう・・・ググッて、ググッて!

「内田屋 西山福之助商店」にやって来た。
生ビールのつまみはいつも丸1丁の冷奴と白瓜の奈良漬。
ただし、独りのときは1丁の豆腐を持て余すので奈良漬のみ。
この店は本日の主役じゃないから先を急ぐが、いいお店デス。

さあ、やって来ました「鹿島屋」。
かなりご年配の姉妹がお二人で営んでいる。
おそらくこまどり姉妹(1938年生まれ)と同年輩ではなかろうか。
さすがに芸能人じゃないからクマドリはしてないけどネ。

飲みものは限定的でビールとサワーと日本酒にあと何だっけ?
まっ、いいや。
瓶ビールの合いの手は名代の牛もつ串煮込み。
都内に数軒ある串煮込み専門店としては
たぶん二番目に古いのではないかな?
有名な門仲の「大坂屋」が大正13年、
「鹿島屋」は昭和6年の開業だ。
以来ずう~っと継ぎ足し、継ぎ足しで味を守り通している。
煮込み続けて81年かァ、スゴいですねェ、リッパですねェ。

その夜のネタはフワ(肺)とアブラ(シマ腸)だった。
確かに重ねた歴史をモロに感じさせる味だ。
ちょいと甘めなのが玉にキズではあるけれど・・・。

日本酒の常温に切り替え、焼きとんを追加。
すると、こっちが妹サンかな? オモテへ出て行った。
そう、この店の焼き台は暖簾の外にある。
ハツ・タン・ナンコツを塩、シロ・レバはタレでお願いした。
いいなァ、旨いなァ、パクちゃんもご満悦だ。

人なつっこいお二人との会話も弾む。
訊けば姉妹のオヤジさんは茨城県・鹿島、
オフクロさんが千葉県・東金の出身とのこと。
国ざかいを越えた恋といってもお隣り同士だもんネ。
きっと潮来花嫁さんみたいなお嫁入りだったのだろう。

まぐろ中落ちが一鉢差し出された。
これがサービスであった。
しばしの歓談後、恐縮しながらのお勘定は二人で3千円足らず。
ありゃりゃ、なんか悪いことしちゃったみたい。
っていうかァ、悪事を働いた心持ちになっちまいました。

「内田屋 西山福之助商店」
 東京都港区芝4-7-1
 03-3451-0386

「鹿島屋」
 東京都港区芝4-6-9
 03-3454-7201