2012年10月11日木曜日

第423話 豆州より相州へ (その2)


七夕祭りで有名な平塚にいる。
駅北口から徒歩数分の日本そば屋「大黒庵」にて
ビールでのどをうるおし、名代のラーメンを所望したところだ。
注文の際に「麺は硬め? 柔らかめ?」とオバちゃんに訊かれ、
反射的に「硬めで」と応じた。

中瓶を飲み終える頃、60年変わらぬ味のラーメン登場。
見た目にも麺のチリチリ感が伝わる

おう、こりゃ旨そうだとスープを一口。
よいでないの、いいでないの。
日本そば屋の中華そばはかなりの確率でヒットする。
しかもハズレがほとんどないのがうれしく、
昔ながらの支那そばタイプが多い。
近頃流行りの油ギトギトや魚粉テンコ盛りはまずない。
油はともかくも、あの魚粉って一体何だろネ。
ありゃもともと畑の肥料にするもので
およそ人間の食うモンじゃなかろうが! ったく。

映画「タンポポ」でラーメンの師匠、
大友柳太朗翁がしてみせたように
焼き豚をドンブリの向こう側に移動させながらツイットした。
「あとでネ」と―。
そうしておいて麺を一筋、二筋、スルスルやった。
ムッ! ゲッ! ずいぶんと硬いじゃないのっ!
そりゃ硬めでお願いはしましたヨ、でもこれってチョー硬い。

卓上には先ほど手に取ったメニューのほかにもう一つ。
表形式のそれにはこうあった。

  麺のかたさ    大黒庵の口調    湯で時間(ママ

  チョーかため    チョードンパリ       20秒
  うんとかため    ドンパリ            30秒
  かため        パリ             50秒
  少しかため     チョイパリ        1分10秒
  普通のかたさ    フツー            2分
  少しやわら     チョイヤワラ         3分
  やわら        ヤワラ            4分
  うんとやわら    チョーヤワラ         6分

そして裏面にはこうあった。
当店のラーメンは麺が(かため)なので
はじめて食べられる方は(やわら)で注文してください
オイ、オイ、初手からそう言うてくれい!
注文した(かため)とオススメの(やわら)には
茹で時間にして3分10秒もの差があるじゃんかァ。
まっ、見落としたこっちが悪いんだ。
でも麺の硬さはともかく、ここのラーメンは旨かった。
平塚に来たらまた来よう、次回はチョイヤワラあたりで。
駅に隣接したビルにラーメン専門の支店もあるらしいし・・・。

次にエイヤ!っと入ったのがこちら。
”焼肉1人前 250円” が目に焼きついた

値段からしてどんな肉が出てくるのか想像もつかない。
おそるおそる中をのぞくと、安さのせいかテーブルは満席。
かろうじてカウンターに数席を残すばかりなり。
こりゃ掛け声でも掛けなきゃ入れやせんぜ。

生ビールを飲んでたら注文したジンギスカン(300円)と
カルビ(400円)がすぐにやって来た。
手前ジンギス 奥カルビ

あらあらカルビなんざ、色変わりしちゃってるヨ。
でもっていただきやした。
値段を言われりゃ、文句はございやせん。
しかしながら流浪の八州廻り多くを語らず、でありんした。

「大黒庵本店」
 神奈川県平塚市紅谷町4-21
 0463-21-1335

「大衆焼肉支店」
 神奈川県平塚市紅谷町5-9
 0463-21-4272