2012年10月17日水曜日

第427話 よこはま 焼きそば 老舗の小盛り

思い起こせば30年も前のこと。
ちまたには第一次漫才ブームの嵐が吹き荒れていた。
当時「吉野家」のTVコマーシャルで
”牛丼つくって80年” というのがお茶の間に流れていた。
そのCMの挙げ足をとってツービートのビートたけしが
「くだらねェもん、80年も作ってんじゃねェ!」―
強烈な一撃をカマせたが言い得て妙だと、いや、笑った、笑った。

ハナシは一足飛びに2012年の横浜。
還暦前に亡くなった青江美奈の
 ♪ ドゥドゥビ  ドゥビドゥビドゥビドゥバー ♪
で名を馳せた伊勢佐木町から西に15分も歩くと、
下町情緒漂う、よこはま橋商店街に到達する。
どことなく気になる店舗群を尻目に商店街を突き抜け、
大通りを渡れば今度はちょいと寂れた三吉橋商店街だ。
さらに直進したところにポツンとあるのがこの店。
1950年創業の「磯村屋」

人間ならとっくに還暦を超えている老舗である。
しかも驚いたことに開店以来ずっと、
焼きそば一筋でもっているのだ。

どれほど旨い焼きそばを食わせてくれるのかと胸弾ませて赴いた。
昼めしどきの混む時間帯をはずしたのに店内はけっこうの入り。
これは期待できるゾ・・・そう思うのも無理はない。
チラリ見上げた壁の品書きが否が応でも郷愁を誘う。
ラムネ110円 ソーダ水200円

小学生時代の夏休みにタイムスリップしたみたい。

焼きそばのヴァリエーションが豊富だ。
基本形の5種類は大・中・小に分かれて
それぞれ00円・250円・200円と、50円刻みの価格設定。
具を2種併せると50円アップ、3種混合は100円アップになる。
何だかワクチンみたいだな。

三色の小(300円)をお願いした。
三色は肉・玉子・ポテトのこと

焼きそばを鉄板で焼いているのは
齢80歳を超えるお婆ちゃんで
開業時には花も恥じらう18歳かそこいらだったハズ。
まかり間違って赤い靴でも履いてりゃ、
ティーンエイジャー好きの異人さんに
横浜の波止場から連れられて行っちゃったかもしれないのだ。

焼き立ての熱々を食してみた。
むむむっ、あれれ、あらら、おやおや。
昔の人は言いました、継続は力なりと・・・。
だがネ、何と形容したらいいのかな?
ポテトと玉子が特徴なのだろうが、あまり成功しているとも思えない。

焼きそば焼いて60年、築き上げた歴史には敬意を表したい。
でもネ、今なお生き残っていること自体が
横浜の奇跡というほかに言葉が見つからない。

「磯村屋」
 神奈川県横浜市南区八幡町4
 045-261-0956