2013年5月27日月曜日

第585話 その日のうちにウラ返し (その3)

霊園では途中落ち合った縁者とともに墓前を掃き清め、
香華を手向けて、とどこおりなく墓参を済ませた。
陽は西のかたに傾き始めていても、まだまだ明るい。
五月の日の長さを実感する。

新京成の電車に揺られ、八柱から松戸に向かった。
松戸の一つ手前の上本郷を過ぎてまもなく、
かつて住んだ古く小さなマンションが線路沿いに今も健在。
築37年になるはずで、さすがに外壁は塗り替えられている。

お墓参りのあとは松戸駅西口にある日本そば店、
「関宿」に立ち寄るのが常ながら
その夕は試してみたい酒場があった。
同じ西口の「ひよし」である。

強い陽射しの下でひと働きしたおかげで
ノドをすべり落ちてゆくサッポロ黒ラベルの旨いこと。
まっ、なんだかんだ言って、いつもビールは旨いんだけど・・・。
突き出しに出たきゅうりと大根の浅漬けがまたけっこう。
お替わりしたいくらいのものだ。

ここは焼きとんが名物。
さっそく所望すると、女将応えて曰く、
「今日はナンコツとレバーしかないんですヨ」―日曜だから致し方ないか。
ナンコツは塩、レバーはタレで焼いてもらったがレバーは特筆に値した。

壁の品書きにガツ刺しを見とめて追加する。
うむ、これは雑色の「三平」に軍配だな。
いや、けして悪いわけではないけれど・・・。
日曜はメニューが限定されるようだし、さて、このあとは・・・。

ここでひらめいたのが、昼間訪れたあの店だ。
相方も乗り気につき、20分後には「綾瀬飯店」に落ち着いていた。
その日のうちにウラを返しちゃったわけだ。
こういうケースは滅多になく、3~4年に一度の確率だろう。

「綾瀬飯店」→「ひよし」→「綾瀬飯店」と、
今日はずっと黒ラベルを飲んでいる。
ビールを頼んだら、昼は茹で茄子がサービスされた。
夜もそうかな? と思っていたら今度はかぶの新香が山盛りで来た。
これもうれしいな。

ビールのあとは紹興酒・珍年5年とピータンをお願い。
そして何か一品料理をと思い、菜譜とにらめっこである。
妙に気になったのが海老蟹炒め。
エビガニ(ザリガニ)ではなく、海老と蟹の合わせ炒めだろうヨ。
海老はともかく蟹には期待できまいと懸念しつつも追加した。

はたして現れたのは小海老と紅ずわい蟹の缶詰だった。
缶詰はほぐれ身の安価なもので化調が使用されている。
許容範囲ではあったものの、
昼に化調抜きのラーメンを食べているだけに残念は残念。
でも、悔いはない。
この店は良い店である。
白状すると、実は翌週の日曜日にも
またラーメンを食べに行っちゃったのでした。

=おしまい=

「ひよし」
 千葉県松戸市本町19-9
 047-362-3182

「綾瀬飯店」
 東京都足立区綾瀬2-23-20
 03-3603-9948