霊園では途中落ち合った縁者とともに墓前を掃き清め、
香華を手向けて、とどこおりなく墓参を済ませた。
陽は西のかたに傾き始めていても、まだまだ明るい。
五月の日の長さを実感する。
新京成の電車に揺られ、八柱から松戸に向かった。
松戸の一つ手前の上本郷を過ぎてまもなく、
かつて住んだ古く小さなマンションが線路沿いに今も健在。
築37年になるはずで、さすがに外壁は塗り替えられている。
お墓参りのあとは松戸駅西口にある日本そば店、
「関宿」に立ち寄るのが常ながら
その夕は試してみたい酒場があった。
同じ西口の「ひよし」である。
強い陽射しの下でひと働きしたおかげで
ノドをすべり落ちてゆくサッポロ黒ラベルの旨いこと。
まっ、なんだかんだ言って、いつもビールは旨いんだけど・・・。
突き出しに出たきゅうりと大根の浅漬けがまたけっこう。
お替わりしたいくらいのものだ。
ここは焼きとんが名物。
さっそく所望すると、女将応えて曰く、
「今日はナンコツとレバーしかないんですヨ」―日曜だから致し方ないか。
ナンコツは塩、レバーはタレで焼いてもらったがレバーは特筆に値した。
壁の品書きにガツ刺しを見とめて追加する。
うむ、これは雑色の「三平」に軍配だな。
いや、けして悪いわけではないけれど・・・。
日曜はメニューが限定されるようだし、さて、このあとは・・・。
ここでひらめいたのが、昼間訪れたあの店だ。
相方も乗り気につき、20分後には「綾瀬飯店」に落ち着いていた。
その日のうちにウラを返しちゃったわけだ。
こういうケースは滅多になく、3~4年に一度の確率だろう。
「綾瀬飯店」→「ひよし」→「綾瀬飯店」と、
今日はずっと黒ラベルを飲んでいる。
ビールを頼んだら、昼は茹で茄子がサービスされた。
夜もそうかな? と思っていたら今度はかぶの新香が山盛りで来た。
これもうれしいな。
ビールのあとは紹興酒・珍年5年とピータンをお願い。
そして何か一品料理をと思い、菜譜とにらめっこである。
妙に気になったのが海老蟹炒め。
エビガニ(ザリガニ)ではなく、海老と蟹の合わせ炒めだろうヨ。
海老はともかく蟹には期待できまいと懸念しつつも追加した。
はたして現れたのは小海老と紅ずわい蟹の缶詰だった。
缶詰はほぐれ身の安価なもので化調が使用されている。
許容範囲ではあったものの、
昼に化調抜きのラーメンを食べているだけに残念は残念。
でも、悔いはない。
この店は良い店である。
白状すると、実は翌週の日曜日にも
またラーメンを食べに行っちゃったのでした。
=おしまい=
「ひよし」
千葉県松戸市本町19-9
047-362-3182
「綾瀬飯店」
東京都足立区綾瀬2-23-20
03-3603-9948
香華を手向けて、とどこおりなく墓参を済ませた。
陽は西のかたに傾き始めていても、まだまだ明るい。
五月の日の長さを実感する。
新京成の電車に揺られ、八柱から松戸に向かった。
松戸の一つ手前の上本郷を過ぎてまもなく、
かつて住んだ古く小さなマンションが線路沿いに今も健在。
築37年になるはずで、さすがに外壁は塗り替えられている。
お墓参りのあとは松戸駅西口にある日本そば店、
「関宿」に立ち寄るのが常ながら
その夕は試してみたい酒場があった。
同じ西口の「ひよし」である。
強い陽射しの下でひと働きしたおかげで
ノドをすべり落ちてゆくサッポロ黒ラベルの旨いこと。
まっ、なんだかんだ言って、いつもビールは旨いんだけど・・・。
突き出しに出たきゅうりと大根の浅漬けがまたけっこう。
お替わりしたいくらいのものだ。
ここは焼きとんが名物。
さっそく所望すると、女将応えて曰く、
「今日はナンコツとレバーしかないんですヨ」―日曜だから致し方ないか。
ナンコツは塩、レバーはタレで焼いてもらったがレバーは特筆に値した。
壁の品書きにガツ刺しを見とめて追加する。
うむ、これは雑色の「三平」に軍配だな。
いや、けして悪いわけではないけれど・・・。
日曜はメニューが限定されるようだし、さて、このあとは・・・。
ここでひらめいたのが、昼間訪れたあの店だ。
相方も乗り気につき、20分後には「綾瀬飯店」に落ち着いていた。
その日のうちにウラを返しちゃったわけだ。
こういうケースは滅多になく、3~4年に一度の確率だろう。
「綾瀬飯店」→「ひよし」→「綾瀬飯店」と、
今日はずっと黒ラベルを飲んでいる。
ビールを頼んだら、昼は茹で茄子がサービスされた。
夜もそうかな? と思っていたら今度はかぶの新香が山盛りで来た。
これもうれしいな。
ビールのあとは紹興酒・珍年5年とピータンをお願い。
そして何か一品料理をと思い、菜譜とにらめっこである。
妙に気になったのが海老蟹炒め。
エビガニ(ザリガニ)ではなく、海老と蟹の合わせ炒めだろうヨ。
海老はともかく蟹には期待できまいと懸念しつつも追加した。
はたして現れたのは小海老と紅ずわい蟹の缶詰だった。
缶詰はほぐれ身の安価なもので化調が使用されている。
許容範囲ではあったものの、
昼に化調抜きのラーメンを食べているだけに残念は残念。
でも、悔いはない。
この店は良い店である。
白状すると、実は翌週の日曜日にも
またラーメンを食べに行っちゃったのでした。
=おしまい=
「ひよし」
千葉県松戸市本町19-9
047-362-3182
「綾瀬飯店」
東京都足立区綾瀬2-23-20
03-3603-9948