2013年10月1日火曜日

第676話 一年ぶりに大宮へ (その2)

埼玉は大宮駅にほど近い中華食堂「多万里」にいる。
心和む空間に身を置き、冷たいビールを楽しんでいる。
ただ、この店には難点が一つあった。
実はつまみ類がいっさいないのだ。
いわゆる一品料理もなく、麺・飯類がすべてなのである。

すでに相方とはとことん飲む約定を交わしている。
落陽前の明るい時間に
いきなりチャーシューメンや中華丼を食うわけにはいかない。
かといって食堂に来てビールだけというのも非常識だ。

そこで思いをめぐらせた。
まずお願いしたのが野菜炒め定食のライス&スープ抜き。
これは問題なかった。
豚小間ときくらげ入り

とかくはしご酒は野菜不足に陥りやすい。
早めにビタミンと植物繊維を補給しておくのも一案だ。

二人で来店して料理一品では体裁が悪い。
何か策はあるまいか・・・思いついたのが中華丼のライス抜き。
言い忘れたがこの店は食券制。
食券販売機ではなく、入口そばの窓口で
接客を兼ねるオバちゃんから買うのである。

「中華丼のライス抜きを作ってくれますか?」
「ハァ~? 何でしょうか?」
「中華丼のアタマだけでごはんのないヤツ」
「上のほうだけ? ちょっと訊いてきますネ」
「アッ、値段は一緒でいいですヨ」
「エッ? はい、はい!」

ちなみに中華丼は800円、野菜炒めは650円である。
オバちゃんすぐに厨房から戻って来て曰く、
「それだと600円ですって・・・」
おやまあ、良心的なお店ですこと。
それにしてもこんな注文をしたのは当店始まって以来の様子だ。

そうして登場したのがコレ。
具の種類が少ないが八宝菜風
野菜炒めはもやしが主体。
いっぽうこちらはキャベツがメインだ。
どちらも味はそれなりながら
しっかりと野菜を摂取することはできた。
中瓶2本を含め、支払いは総額1800円也。

2軒目は東口駅前の大衆酒場「いづみや」。
本店と支店が他店数軒をはさんで並んでいる。
向かって右側の本店に入る。
去年、一日で二度おジャマしたのもこの本店だった。

=つづく=

「多万里」
 埼玉県さいたま市大宮区大門町1-62
 048-641-3551