2013年10月9日水曜日

第682話 北国の旅の空 (その1)

所用で仙台へ。
早々に仕事を片付け、夕間暮れの街にうって出る。
見上げた北国の空は、あいにくと灰色によどんでいた。

 ♪ 風にまかれた 私の髪に
   野バラの甘い かおりがせつない
   北国の 空と湖
   二人の愛は ここにねむる
   あなたのために 私は祈る
   二度と帰らない 夏の日の恋よ 恋よ
   白い小舟に 野バラをかざる
   北国の青い空は ないてる   ♪
        (作詞:橋本淳)

奥村チヨが歌った「北国の青い空」はベンチャーズの作曲。
メロディーと歌詞がふいに脳裏をよぎり、旅愁を誘う。
この曲のリリースは1967年8月。
そのときJ.C.は高校サッカー部の合宿で
やはりみちのくの福島市にいた。
苦しかったあの日々は身体にしみ込んで生涯忘れることはない。

翌月にはジャッキー吉川とブルーコメッツの「北国の二人」が
追いかけるように発売された。
思えば1967年はグループサウンズの全盛期。
レコ大は「ブルー・シャトー」が受賞した。

「バラ色の雲」、「君に会いたい」、「僕のマリー」、
「風が泣いている」、「遠い渚」「哀愁の湖」
「愛のリメンバー」、みなそれぞれになつかしい。
ちなみに赤字の曲をご存知の方はその道の達人です。

洋楽ではA・ウイリアムスの「恋はリズムにのせて」と
ヴィッキーの「恋はみずいろ」がヤケに耳朶に残っている。
まだビートルズがバカスカ楽曲を発表していた時代。

いけネ、また脇道にそれた。
こういうハナシになるとキリがないや。

とにかくやって来ました、杜の都・仙台である。
その日は宮城県在住の酒友がもてなしてくれた。
落ち合ったら仙台随一の繁華街、国分町に直行だ。
週末のことで道行くサラリーマンの数が普段より多いとのこと。

1軒目は行き当たりばったりの居酒屋「地雷也」。
名古屋名物の天むす屋にも同名の店がある。
魚介の炭火焼きがウリだが予約が立て混んでいるらしい。
長居はしないからと、何とかカウンターに席を確保した。
それでも着席後、こっちにズレろ、今度はあっちだと
二度も小移動を余儀なくされて、やれやれの、やれ。

泡少なめでお願いした生ビールの突き出しは秋刀魚のぬた。
わかめとつるむらさきのひたしが小さな鉢に同居している。
秋刀魚の鮮度が高く、なかなかのお味、期待がふくらんだ。
予約が異様に詰まっていて
滞在を3~40分と約したため、肴は1品にとどめるつもり。
品書きに目をやると、ややっ! もとい、じぇじぇ!
耳なれぬ名前のカレイに目を奪われた。

=つづく=