2013年10月25日金曜日

第694話 国破れて山河あり (その1)

深川は森下の天ぷら屋「満る善」と
「深川煉瓦亭」をハシゴした日から2日後、
再び森下の町にJ.C.オカザワの姿を見ることができた。
そんな姿、見たくもないってか?
まあ、そうおっしゃらずに先をお読みくだされ。

当夜は恒例の食事会。
面子は漫画界の重鎮のさだおサンと
「キン肉マン」の特殊キャラで名を馳せた和雄サン、
そしてJ.C.が野郎ども。
ハーピストのI﨑サン、専業主婦に徹するちーチャン、
フードアナリストのパン子チャンが女郎衆である。
この会は男女比3対3であることがほとんだ。

2ヶ月に一ぺんほどの不定期開催ながら
第1回が震災の年の正月だったから
かれこれ3年近く続いていることになる。
初回は本所吾妻橋のどぜう屋「ひら井」であった。

番たび19時のスタートながら
男性陣は30分ほど前に別の場所で落ち合い、
生ビールで乾杯するのが半ば慣習化している。
たまたまその夜はJ.C.に夕方から所用が入ってしまい、
零次会ナシということになった。
ところが所用はキャンセル、2時間近くも身体が空いた。

17時過ぎには森下に独り到着して
まずは二次会会場の下見である。
森下の交差点近く、腹積もったバーがあるはずなのに見つからない。
おそらくクローズしたのだろう。
サァ、困ったゾ。
ぶらぶらしたところで適当な店が見つかるわけもなし、
ましてや下町にバーはきわめて少ない。
方針変更して小粋な居酒屋にでもしようか。
一次会は日本そばの佳店、「京金」に予約を入れてある。
”和”と”和”で重なるが、「魚三酒場 常盤店」のそばに
「杉」なる和食店を見つけ、女将に21時頃の訪問を伝達した。

ときに17時45分、1時間以上も時間が空いた。
しかし、すでに算段があり、立ち寄る店も決めていた。
森下で一番有名な酒場、「山利喜」である。
いきなり会場の「京金」に出張るつもりは毛頭なかった。
何となればこのそば屋、料理は上々ながら
ビールが生・瓶ともにエビスしか置いてないのだ。

どうして日本そば屋には
「エビスビールあります」派が多いのかネ。
うなぎや焼肉ならいざ知らず、そばや鮨にエビスは濃厚過ぎる。
サッポロの営業マンにそそのかされた酒類に疎いそば屋の主が
二つ返事で契約した結果がこの惨上、やれやれである。

=つづく=