2013年10月10日木曜日

第683話 北国の旅の空 (その2)

杜の都・仙台随一の盛り場、国分町の「地雷也」にいる。
小じゃれた突き出しでビールを飲んでいるが
店の予約が詰まっており、長居のできない不自由な身体だ。

ひと品だけと決めた肴を吟味していて
強く惹かれたのがハダカレイの昆布〆。
ハダカレイって何だ?
昆布〆とあるから、ハダカのレイちゃんじゃないことは判る。
耳慣れぬ、というより初耳のカレイにつき、
お運びのオネエちゃんに訊ねた。
訊ねはしたが、まったく要領を得ない。

結局は薬局、板長が応えて曰く、俗に言うホシガレイなんだとサ。
じぇ、じぇ、これには正直驚いた。
ホシガレイは金輪際、干し鰈に非ず、平目よりも高級な星鰈だ。
漁獲量が少ないうえに食味がよいため、
銀座の鮨屋でつまもうものなら、
目ン玉はぶっ飛び、財布の中身もぶっ飛ぶ。

いくらだったか忘れちゃったが、そんなに高くなかったと思う。
千円前後じゃなかったかな?
迷わずに所望したら、出汁醤油とポン酢の両方が運ばれた。
わさびはニセにつき、ポン酢のほうがいいが
昆布〆にポン酢は合わず、痛し痒しのジレンマに陥る
はたしてハダカレイは・・・
すばらしくはなかったけれど、悪くもなかった。

2軒目は街の中心部を離れ、北仙台方面へ10分ほど歩く。
到着したのは「ふじ松」なる居酒屋風食堂だ。
看板に”食事処”とあったから食事がメインなのだろうが
店内はオジさんリーマンたちの宴会が真っ盛り。
この情景を高見の見物とシャレ込むと
断髪式を終えたばかりの高見盛だ。
エッ、判んな~い!ってか? 判らへんのかい(清原風に)!

盛上がりを尻目にわれわれは静かにカウンターへ落ち着く。
そうして見上げた壁の品書きがコレだ。
単品メニューの数々

国分町の「地雷也」ではハダカレイに目を奪われたが
「ふじ松」でわが目を釘付けにしたのは何あろう、
ボロニアソーセージ炒めであった。

ここでJ.C.の心ははるかニューヨークのウォール街へ翔ぶ。
ボロニアとはなんぞや? ボロニアとはボローニャのこと。
イタリア中北部はエミリア=ロマーニャ州の州都だ。
スパゲッティ・ミートソースがスパゲッティ・ボロネーゼだということを
ほとんどの読者の方々はご存知でありましょう。
ボロネーゼはボローニャ風という意味なんです。

それは判ったがニューヨークとボローニャがどうつながるんだ!ってか?
ハイ、ごもっとも、それはまた明日。

「地雷也」
 宮城県仙台市青葉区国分町2-1-15 猪股ビルB1F
 022-261-2164