2013年10月23日水曜日

第692話 茄子と胡瓜があればシアワセ (その2)

ちょい悪オヤジがちょい飲みできる街・上野。
それも茄子と胡瓜の浅漬けで一杯ときたもんだ。
J.C.みたいにハシゴ好きの飲んだくれにはたまりませんな。

まず1軒目、地番は上野5丁目ながら
実際はJR御徒町駅のガード下にある「味の笛 御徒町店」。
ちょうどプラットホームの真下だ。
駅の改札は北でも南でも大差ないが
上野寄りの北口を出たほうがより近い。
1階(16時開店)は立ち飲み、
2階(15時開店)は座り飲みとなっている。

サカナのデパート「吉池」の直営店だから
良質のつまみ類が廉価でズラリと並んでいる。
中でもイチ推しは新潟産の十全茄子(300円)。
別名・梨茄子といわれるくらいでジューシーこのうえない。

いや、このうえあった。
それは泉州・岸和田産の水茄子だ。
スマートな水茄子をハクチョウに例えれば、
十全茄子はさしづめアヒルの子。
でも、けっしてみにくいアヒルの子ではないですゾ。
味も甲乙つけがたく、小粒で可愛い見てくれから
こちらに愛着する向きが少なくないのである。

まずはご覧いただきましょう。
茄子紺に辛子の黄色が美しい
これで工場直送、スーパードライの生をグビッと飲るのだ。
ビールは鮮度がイノチ、新しければ新しいほどよい。
見た目、300ccほどのプラコに入った冷たいのが破格の250円。
夏場のJ.C.なんざ、4~5杯飲んじゃうもんネ。

残念ながらこの十全茄子、9月半ばに姿を消してしまう。
旬は7~8月でもうちょっと早く紹介すればよかった。
その代わりといっては何だけれど、お新香(200円)が悪くない。
きゅうりぬか漬け・赤かぶ・野沢菜・新しょうがであることが多く、
値段が値段だけにすばらしい陣容と言うほかはない。
「味の笛」はJR神田駅のガード下に支店があるが
雰囲気・味ともに御徒町に軍配が挙がる。

2軒目は上野駅に近い、これまたガード下の「大統領」が
数年前に開店した「もつ焼き 大統領 支店」だ。
名代の馬もつ煮込みがこちらにも健在。
入口前のスペースにテーブル席。
店内はうなぎの寝床のような長いカウンター。
常に独りか二人連れのJ.C.は上がったことはないが
グループ客は2階に通されるから
階上にもかなりの席数がありそうだ。

ここでは胡瓜の浅漬け(280円)で
スーパードライの大瓶(580円)を飲む。
薄切り胡瓜がみずみずしい
いつぞやはこの胡瓜をお替わりし、
それだけで大瓶を3本飲んだ。
いえ、自慢じゃないけどネ。

あとはもつ焼き(1種2本が180円)のシロとレバを
タレで注文することが多い。
この店の隣りは「フジクラ」、その向かいは「たきおか」。
どちらも立ち飲みで大瓶が400円を切る安さ。
給料前にはその2店、給料後には「大統領」、
それが上野の酒場の正しい使い方であります。

「味の笛 御徒町店」
 東京都台東区上野5-27-5 1&2F
 03-3837-5828

「もつ焼き 大統領 支店」
 東京都台東区上野6-13-2
 03-3834-2655