2013年10月11日金曜日

第684話 北国の旅の空 (その3)

みちのく仙台、旅空の下にいる。
「ふじ松食堂」の品書きにボロニア・ソーセージを見つけた。
このソーセージがなぜニューヨークを連想させるのかというと、
ウォール街で仕事をしていた1987~97年、
朝食時にずいぶんお世話になったからである。

往時のJ.C.の朝食はオフィスに到着してから
「Stage Door」なるデリに出前を頼むのが常。
メニューはかくの如しである。

 軽くバターをぬったビアリーのトースト
 3分ゆでのソフト・ボイルドエッグ
 軽くバターで炒めたボローニー
 よく冷えたパイナップルジュース

ビアリーというのはレバノンのベーグル。
通常のベーグルより質感が軽く、ノドを通りやすいのだ。
しっかし、ニューヨークでポピュラーなビアリーを
日本でまったく見掛けないのがまったく不思議。
見つけたら即刻買い求めるのになァ。
たまさかビアリーがイングリッシュ・マフィンに替わることもあった。
ボローニーはもうお判りですネ?
トーステッド・ビアリーにはさんで食べるのが好きだった。

てなこって、ボロニアを看過すること能わず。
所望してみると、想像とは違う姿で登場した。
ブツ切りでダイナミック

スライスじゃないから食べ応えがあり、色もずいぶんと濃い。
ウォール街のそれには及ばぬともビールにはよく合った。

昼食時によく出るというメンチカツを追加する。
つなぎ多めのメンチカツもよし

菊正の燗を同時に頼んだがメンチと日本酒ってのもねェ。
まっ、いいか、と流したものの、相性はけして悪くない。

さて、3軒目。
酒友に連行されたのはイタリアンである。
「ピッツェリア・パドリーノ・デル・ショーザン」、
たいそうなお名前だ。
何でも東北一のリストランテのピッツァ部門とのこと。

めったに食せぬピッツァながら、嫌いではない。
殊にもっともシンプルにして王道をゆくマルゲリータはネ。
当夜は相方のススメにより、ピッツァ・ラルテを注文。
名前の意味は知らないが、察するに”下町風”かもしれない。
具材は豚バラのコンフィとモッツァレッラとバジル。
キリンの銘柄の中で一番好きなハートランドとともに楽しむ。

順序が逆になったものの、魚介のマリネをお願いすると
サーモン、帆立は許せたけれど、イワシのヤツが生臭い。
これだから青背のサカナはヤバいんだ。
まったくもって余計なモンを頼んじまった。

カクテル・リストにあったゴッドファーザーを口直しに。
ウイスキーとアマレットを合わせたカクテルは
ディジェスティフ(食後酒)に最適、
即座にイワシの臭みが消し飛んだ。
かくして仙台の夜は大団円を迎えたのでした。

=おしまい=

「ふじ松食堂」
 宮城県仙台市青葉区上杉2-4-29
 電話不明

「ピッツェリア・パドリーノ・デル・ショーザン」
 宮城県仙台市青葉区上杉2-1-50 勝山館1F
 022-222-7834