2021年12月6日月曜日

第2900話 葉わさびつまんで にしんそば

東京メトロ東西線・南砂町に現れた。

元八幡通りから仙気稲荷通りを歩きたくて来た。

昼めしは稲荷通りの日本そば店、

その名も「いなりや」と決めてある。

 

13時半に到着。

老舗だが建て替えたと見えて

4階建てのコンパクトなビルは

2階より上がマンションだ。

店内は密にならない程度の入り。

ビールはまたもや一番搾りにぶつかった。

枝豆が付いてきた。

 

ページ数の多い品書きを繰り始めて

真っ先に目を引かれたのは葉わさび。

無類の山葵好きとしては見逃すこと能わず。

 

さっそくお願いしたら

辛味が効くこと、効かないこと。

不覚にも落涙・・・そこまではいかないが

涙がにじんだ、でも、美味いネ。

 

主役のそばはメトロに揺られながら

穴子天そばでいこうと思っていた。

それが突然、浮気心につまづく。

数十年も食べていない、にしんそばを発注に及ぶ。

 

いえ、にしんの棒煮はたまさか口にするが

温そばとのカップリングは

京都の祇園以来じゃないかな?

品書きの“京都直送”の文字に惹かれた。

 

しかし、これが好かった。

しっかり乾された身欠きにしんは

いわゆる上乾というヤツだが別皿で登場。

1杯のかけそばには

葉を5~6枚つけた三つ葉が浮いている。

 

一口すすり、一口手繰る。

つゆもそばもまことにけこっこうだ。

さびれゆく商店街に

どっこい、老舗そば屋は生きていた。

 

南砂から東陽町、木場を経て

洲崎(すさき)まで歩く。

かつて洲崎遊郭のあったところである。

大門(おおもん)通りを散策し、

アカミミガメでも見ようと

洲崎神社にやって来た。

 

ややっ! 亀がプカプカ浮いてた池が

影も形もないじゃんか―。

すっかり埋め立てられて駐車場になってやんの。

亀の歩みが遅いのに、時の流れは速すぎる。

 

♪ さみしさのつれづれに

いつもの店に歩いています 門仲の ♪

 

「いなりや」

 東京都江東区南砂4-7-25

 03-3648-2121