2021年12月15日水曜日

第2907話 想い出の旧山手通り (その2)

代官山の「ル・コントワール・オクシタン」。

先ほどコックコートの料理人をフロアで見かけた。

接客のオニイさんに

「シェフはパッションさんでしょ?」

「ええ、アンドレ・パッションです」

やはりフランス人のシェフだった。

 

「オクシタン」の旧名は「ル・ビストロ・パッション」。

現在も隣接というより連結する、

「レストラン・パッション」でのディナーは36年前。

同僚の米国人、ケン・ゴース、そして彼の許婚者、

台湾女性のフォン・チェンと一緒だった。

 

ファイヤープレイス(暖炉)で焼かれた肉を食べたが

ビーフだったか、ヴェニスン(鹿肉)だったか、

当時はまだフード・ダイアリーをつけておらず、

どうにも思い出せない。

 

しかし、その際にムッシュ・パッションと

言葉を交わした記憶はよみがえる。

彼の容貌を覚えてたわけじゃないが懐かしい。

食後のエスプレッソをいただき、

想い出の旧山手通りを神泉方面に向かった。

 

デンマーク大使館を過ぎるとエジプト大使館。

此処を訪ねたのは1973年、48年前だ。

査証(ヴィザ)を取得するために来た。

同年10月、第四次中東戦争が勃発したときは

エジプトの首都・カイロにいたのだ。

スーダンへ脱出し、その後、エチオピアから

ケニア、ウガンダ、タンザニアと旅を続けた。

 

西郷橋を渡って西郷山公園。

この公園も何度か訪れている。

わりと近くにGFが棲んでおり、

週末のブランチのあとの散歩コースだった。

 

神泉町交差点で通りは尽き、Uターン。

今度は反対側のペーヴメントを往く。

風変わりな意匠のマレーシア大使館を過ぎ、

西郷橋を渡り返した。

 

今、この稿をしたためていて気づいた。

エジプト大使館で査証をとったのは1973年。

「ル・パッション」での夕食は1985年。

そして此度の「オクシタン」の昼食が2021年。

それぞれの干支は奇しくもみな丑年だ。

 

J.C.の故郷は長野県・長野市。

生家は定額山善光寺の真裏にあって

本堂から徒歩2分の至近である。

 

その善光寺の昔ばなしに

牛に引かれて善光寺参り

というのがあるがJ.C.の場合は

丑に引かれて代官山参り

ということでありました。

 

「ル・コントワール・オクシタン」

 東京都渋谷区猿楽町29-18

 03-3476-5166