2021年12月7日火曜日

第2901話 柿の葉切りを食べました

だしぬけに柿の葉切りを食べたと言われても

何のこっちゃい? でしょうネ。

ときは「いなりや」の翌日、14時過ぎ。

ところは麻布十番「更科堀井」でありました。

 

前日は温かいにしんそばだったので

本日は冷たい変わりそばをいただこう。

「堀井」には確か、柚子切りがあったハズ。

 

ドライの中瓶とさんまの甘辛煮を通す。

冷たいそば茶と揚げそばがサーヴされた。

季節の変わりそばをチェックすると

おや、おや、ずいぶん変わった変わりそばぞなもし。

 

1121日に終わった、くちなし切りは初めて目にした。

22日から30日が柿の葉切りでこれも人生初。

更科そばに柿の葉を打ち込んだものだ。

12月は月間を通して柚子切りだが

2122日に限り、冬至にちなんで南瓜切り。

いや、実に芸が細かい。

 

今日は30日、柿の葉切りの最終日だ。

柿の葉の効能は風邪予防、美肌効果とあった。

そう言われてもなァ。

10年以上、風邪なんかひいたことないし、

これ以上、美肌になったら女たちが放っておくまい。

この歳になって道ならぬ恋のトラブルは御免だ。

とは言え、ここであったが百年目。

初体験に対する好奇心は、性・食を問わない。

謹んでパーシモン・リーヴスをお願いした。

 

ビールの相方、さんま甘辛煮には

針しょうが、はじかみ、実山椒が添えられ、

さすが麻布十番のそば屋の頂点に立つ名舗だ。

何せ、創業は寛政元年(1789)。

フランス革命の年である。

 

柿の葉切りはたっぷりの量があった。

薬味は本わさび、おろし、さらしねぎ。

ねぎは白い部分だけを使用する。

一箸手繰るが特段の味・香りを感じない。

普段、柿の葉を口にしないし、

香りを嗅ぎもしないから判らないのは当然だ。

 

江戸そばの系統御三家は藪・砂場・更科。

変わりそばは更科系の専売特許と言ってよい。

でも、柿の葉は策士、策に溺れた感否めず。

やはり変わり切りは夏場の紫蘇、

冬場の柚子にとどめを刺す。

 

当店のそばつゆは甘みが勝って

老舗には珍しいタイプだが好みにピッタリ。

美味しく食べ終え、残ったつゆにそば湯を―。

おおっと、湯桶がズシリと重い。

おまけに密閉度が半端でなく、

蓋を開けないと湯が出て来ない。

 

史上最強の湯桶から注ぐそば湯も好かった。

お勘定は金2440円也。

ごちそうさまでした。

 

「総本家 更科堀井」

 東京都港区元麻布3-11-4

 03-3403-3401