2021年12月1日水曜日

第2897話 カボスを搾った秋刀魚の塩焼き

自宅から同じ文京区の千石まで歩いた。

何度も通りすがっていながら

未訪の食堂「さくら」に着いたのは13時過ぎ。

店頭のランチボードに見入った。

 

刺身盛合せ・秋刀魚塩焼き・フライ盛合せ・

豚肉味噌焼き・カレーライス

要所を的確に抑えたラインナップが光る。

 

引き戸を引いて入店。

ファースト・アタックはカレーの匂い。

傍らでアンちゃんがカレーライスと格闘中。

スッゴい大盛りだ。

 

カウンターに着くと

隣りのオジさんが秋刀魚を突っついている。

かなり大きな良型である。

添えてあるのはスダチじゃなくカボスだろう。

非常に珍しいネ。

 

刺身はカンパチ&炙りサワラ。

食堂で炙りサワラとは只者じゃないな。

フライはアジ&ササミ。

秋刀魚塩焼きはアジ刺し付きだ。

コレに決めた。

 

一番搾りを承知の上で中瓶を―。

切盛りはおふくろサンと倅(せがれ)のツーオペ。

この倅がビールを通したJ.C.

「お刺身を先にお持ちしましょうか?」

このことである。

この一言が言えるか言えないか大違いだ。

 

生アジは得意としないが鮮度高く美味しい。

半身はある上にマグロが2切れ付いて来た。

下手な食堂だと、この一皿で刺身定食になり得る。

 

立派な秋刀魚が焼き上がった。

半割りのカボスを存分に搾りかける。

大根おろしもたっぷりだ。

 

小鉢はずいきと油揚げの煮もの。

新香がきゅうり浅漬け&たくあん。

いちょう切りの大根&ほうれん草の味噌汁には

豚肉の薄切りも同居して、いわゆる豚汁仕立て。

 

ごはんの炊き上がりよろしく、

これで1050円とは、ただおそれ入るばかり。

銀座・日本橋辺りなら18002000円は下るまい。

 

秋刀魚は目のすぐ後ろの背が盛り上がり、

上物であることを立証している。

実際、あふれる美味さだった。

この秋最高の秋刀魚に出逢い、

再訪を心に期した次第なり。

何でもっと早く来なかったんだろ?

 

「さくら」

 東京都文京区千石1-26-4

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