2021年12月10日金曜日

第2904話 時を忘れた 年忘れ

まだ12月のアタマだってェのに二人のオヤジが

とにかく早めに忘年会を済ましちまおうってんで

御徒町の吉池ビル9Fに上がった。

1Fにユニクロが入居する、あのビルだ。

 

「吉池食堂」で待合せたのは

高一の同級生・N田クン。

10月半ばに飲んだばかりだが

2ヶ月未満の再飲と相成った。

明るいうちから飲もうと言う、

相棒の要望に望むところと受けて立った。

 

14時集結。

おう、おう、若者みたいに

色鮮やかなスタジャンを着込んでるぜ。

まっ、元ラガーマンだから、さもありなん。

 

ドライの中瓶を注ぎ合ってグラスを合わせた。

ほどなく日本酒好きの彼は佐渡の銘酒・北雪に移行。

こちらは向こう2時間はビールで通そう。

 

それぞれ好きな肴を択ぼうってんで

相方がまぐろ山かけと焼き鳥のねぎま2本。

当方は小肌・ずわい蟹のにぎりを2カンづつだが

ねぎま1本、おすそ分けにあずかった。

 

固形物はこれだけじゃないかな?

あとで何か追加したかもしれないが

覚えてないから、たぶん無かったんだろう。

ただひたすら、飲みに飲み、語りに語り合った。

 

結局、中瓶10本、酒2合は飲っつけたろう。

N田は逆にビール2本、酒は1升を下るまい。

いや、おっそろしく強えェな。

ほとんどツマミレスでこれだもんねェ。

 

はるか昔のことながら

京都の南座前で落ち合った、

俳優・辰巳柳太郎と作家・池上正太郎は

夜を徹して清酒を酌み交わしたと聞く。

何升空けたか存ぜぬが

つまみは生山葵に生醤油のみだったという。

粋だねェ、さすがだヨ。

 

そろそろお開き、時計を見たら21時半と来たもんだ。

ゲゲッ! いえ、ゲロじゃないヨ、驚いただけだヨ。

7時間半も飲み続けたのか! スゲェな。

同じ相方とサシで、しかも河岸を変えず、

これほど長時間に渡って酌交するのは

数年さかのぼっても、ちょいと記憶にない。

 

ココロの友との相飲みは、かくも楽しいものなんだ。

最近は物忘れが目立つようになったオッサン二人。

図らずも時を忘れた年忘れの宴でありました。

 

「吉池食堂」

 東京都台東区上野3-27-12御徒町吉池本店ビル9F

 03-3836-0445