2021年12月27日月曜日

第2915話 カキくへど 鐘が鳴らない 浅草寺

歳末のエンコにやって来ると

人出が無茶苦茶でござりまするがな。

インバウンド抜きでこの状態じゃ

彼らが再来襲したら、どうなっちまうんだろう。

 

人気店はどこもかしこも行列だ。

雷門のすぐ脇にありながらガラガラの洋食店、

「とん久」に18年ぶりでおジャマした。

最近は十数年ぶりの再訪が多い。

故きを温ねて新しきを知る代わりに

懐かしさを覚えるから“温故覚懐”の心持ちなり。

 

先客はおらず、店主夫婦が談笑していた。

公衆トイレのすぐ横という、

ロケーションも災いしているだろう。

二人ともお歳を召された。

まっ、18年も経ちゃ当たり前だがネ。

 

普段ならカウンターに着くところ、

アクリル板がうっとうしそうでテーブル席へ。

 

♪ ひとりぼっちの うしろ姿の

君のうなじが やけに細くて

いじらしかったよ   ♪

 

パープル・シャドウズの

「小さなスナック」がかかるなか、

ドライの中瓶、カキフライ単品を通した。

10月下旬以降、

洋食屋でカキフライを食べるのは3度目だ。

 

中ぶりのカキは5カン付け。

ずいぶん色白な揚げ上がりは

キツネ色ではなくシロクマ色。

繊切りキャベツの隣りのポテサラがうれしい。

 

カキフライの味わいは

カリカリのサクサクのシットリと

なかなかにけっこう。

卓上のソースはウスターと中濃の中間てな感じ。

 

若いカップルが入店して来た。

彼らの注文を聞くともなしに聞く。

オムハヤシ、ナポリタン、ヒレカツ定食と

コカコーラ1本にグラス1個。

 

女性がトクトク注ぎ、男性の前に滑らせた。

ふ~ん、やるじゃないの。

近頃の娘っ子にしちゃ、心根のやさしい子だ。

それはともかく若いだけによく食うネ。

 

黄昏まぢかの街に出た。

雷門から仲見世にかけ、人通りが絶えない。

2軒目はすでに決めてある。

 

「とん久」

 東京都台東区浅草1-2-8

 03-3841-8718