2021年12月20日月曜日

第2910話 若旦那 お主は出来る! (その1)

都電荒川線・宮ノ前停留所は

尾久八幡神社の正前に位置するため、宮ノ前。

此処から南へと走るさびれた商店街は

尾久三業地通りと呼ばれていたが

現在は東京女子医大通り。

 

同大東医療センターの歴史は古く、

当地で阿部定事件が起こる2年前、

昭和9年にはすでに設立されていた。

 

女子医大病院と聞けば第一感は新宿区・河田。

あちらにも同名ストリートがある。

かつて長嶋元巨人軍監督や

佐渡ヶ島の古賀さんのハズバンド、

ジェンキンスさんも一時、入院していたネ。

 

尾久に戻って通りの中ほど。

とんかつ「どん平」を丸20年ぶりに訪れた。

懐かしみを覚えたのではなく、何かの折に偶然、

メニューに半とんかつ定食があるのを見つけ、

こいつは自分にピッタリと思った次第なり。

 

店先に到着したが見覚えはない。

それもそのハズ、マンションに建て替わった。

そもそもこの場所だったかどうか

判断すらつかないが、たぶん同じだろう。

 

マンションの1階の店舗は

カウンターが4席、四人掛けが2卓。

2階に椅子席と座敷があるようだが

見ていないからよく判らない。

おそらく2フロアで30席ほどと思われる。

 

カウンターの右端に着いた。

目の前にキッチンが丸見えだ。

ミニセット定食(1000円)が一番人気で

半とんかつと麦とろ(小)の組合わせ。

ドライの中瓶とともにお願いした。

 

目の前のキッチンに30代と思しき男性が一人。

フロアの女性はレジ・接客・下げ物・洗い物、

そのすべてをこなす。

2階担当の娘と合わせたスリーオペは

席数からして相当にハードだ。

しかも人通りの少ないさびしい土地柄に

客がどんどん押しかけ、

テイクアウトもひんぱんに入る。

 

1階の女性はスゴいがキッチンの男性もスゴい。

あわてる様子とてなく、泰然としていながら

テキパキと仕事を片付け、いや、大したモンだ。

 

=つづく=